こんにちは。
コンサートでもない、演劇でもない、ミュージカルでもない「言葉の実験劇場」をコンセプトとして、中島みゆきさんが1989年から始められた『夜会』が今年で30年目を迎えました。
1998年までは毎年開催されていましたが、スケジュール上の都合で、現在は不定期開催なので、今回はVOL.20となります。
記念すべき20回目のタイトルは…
『夜会 VOL.20 リトル・トーキョー』 です。
今年も友人に誘われて参加して来ました〜。今日はその感想を書いておきます。
会場/赤坂ACTシアター
【キャスト】
◎次女 大熊杏奴 (旧姓朝倉)/中島みゆきさん
◎長女 朝倉李珠/渡辺真知子さん
◎梅乃(元・新橋名妓)/植野葉子さん
◎純白の山犬「つらら」の次女 小雪/香坂千晶さん
◎次男 大熊文夫(ふうさん)/宮下文一さん
◎笈川修身 (おいちゃん)/石田 匠さん
◉特別出演(声のみ)長男 大熊権作/泉谷しげるさん
【ミュージシャン】
◎Keyboards/小林信吾さん
◎Keyboards/十川ともじさん
◎Keyboards, Saxophones/中村哲さん
◎Keyboards, Manipulation/飯塚啓介さん
◎Guitars/古川望さん
◎Bass/富倉安生さん
◎Drums/島村英二さん
◎Vocal/杉本和世さん
◎Vocal/宮下文一さん
◎Violin/牛山玲名さん
◎Violin/民谷香子さん
◎Cello/友納真緒さん
【スタッフ】
◎音楽監督/瀬尾一三さん
◎ステージプロデュース/竹中良一さん
◎美術/堀尾幸男さん
◎照明/佐々木真喜子さん
◎音響/佐藤日出夫さん
◎舞台監督/小高則明さん
◎ステージング/眞鍋卓嗣さん
◎振付/ラッキィ池田さん
◎衣装/鈴木紀男さん
◎ヘアメイク/泉沢紀子さん
【主催】(株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス/TBS
【後援】TBSラジオ
【協力】(株)ヤマハミュージックコミュニケーションズ
【企画制作】(株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス/TBS
【プロデュース】あいらんど
『夜会 VOL.20 リトル・トーキョー』 ストーリーを簡単に。
舞台は北海道の峻厳な雪山を背景に建つホテルです。もともとは、英国人動物学者ヘンリー・アダムスが、地元の日本人女性ハナと結婚して手に入れた広大な土地にたつマナーハウスでした。
ハナの長女が、近郷の朝倉直と結婚し、このマナー・ハウスを継ぎますが、この地をリゾート開発のために狙う企業が次々とやってきます。
朝倉家は先代の意志を継いで、ことごとく拒み続けていましたが、ある時、突然、朝倉夫妻は自殺か事故が解らぬまま亡くなってしまいます。
その土地を相続したのは二人の姉妹、杏奴(あんぬ・中島みゆきさん)と李珠(りず・渡辺真知子さん)でしたが、相続税が重くのしかかり、困窮していたところに声をかけたのは、その地をリゾート化しようとたくらむ大熊不動産の大熊権作(泉谷しげるさん)でした。
大熊権作はその土地を買い取りホテルに改装するので、そこに自分の次男・大熊文夫(ふうさん・宮下文一さん)と結婚をして女主人として収まるように杏奴に提案をします。
李珠はミュージカル歌手を目指して家を飛び出し、アメリカに渡り行方不明。残された杏奴は涙を呑んで買収に承諾します。
ただしホテルにするにあたって、二つだけ条件を付けるのです。かつてのマナーハウスを継承する事務所をホテル内に残して欲しいこと。その脇に、小さなステージ『リトル・トーキョー』を設けてほしいこと。それは長女の李珠がいつの日か帰ってくるのを待つための場所だったのです…。
と、ストーリーを簡単に書き出しでみましたが、舞台上では、個々のキャラクターのバックストーリーは殆ど台詞としての説明はありません。
この人は誰で、この人とどういう関係か、なぜこの場所でこんなことをしているのか…?
なかなかストーリーを飲み込めず、もやもやされる方もいらっしゃるでしょうね。
パンフレットには、事細かく、ストーリーが記載されていて、最初に読んでおけば戸惑うこともないと思うのですが、僕は敢えて読みません(笑)。
複雑なバックストーリーを知らなくても、舞台自体は出演者の方々の歌と共に進むので、楽しいし、問題ないと思います。
普通のお芝居ではない、音楽劇でもない、『夜会』という一つのジャンルになっているように思います。
最初は何をテーマにこの物語は進んでいるのだろうと、戸惑う方もいらっしゃると思いますが、徐々に複雑な人間関係の糸がほぐれて、物語のテーマが立ち現れる時、えも言えぬ感動が押し寄せる感覚がたまらないのです。
散らばっていた点がある時点で一つに結ばれた時、「どえらいもんを観せてもろた〜」と僕はいつも感動でいっぱいになります。
今回のラストのみゆきさんは、白いドレス姿だったので、後光が射した、女神様に見えました〜。素敵でした。
そして、今回の『夜会』で大きな話題になっていてたのは、中島みゆきさんとポプコン(ヤマハ主催のポピュラーソングコンテスト)同期生である渡辺真知子さんが共演されたことでしょうね。
渡辺さんは、高校卒業直後に開催された第9回大会にソロ歌手として出場し、自作曲の「オルゴールの恋唄」をピアノの弾き語りで披露され、特別賞(川上賞)を受賞し、以後、譜面歌手(譜面で応募された作品を歌う歌手)として第12回大会まで連続出場を果たされます。
初出場した第9回大会で「傷ついた翼」が入賞曲となったのが、中島みゆきさんだったんです。
お二人は、長いお付き合いなんですね〜。
渡辺真知子はさんは、短大卒業後の77年11月、「迷い道」でデビューされ(大好きな曲です)、78年の新人賞を総なめにし、紅白歌合戦にも初出場されました。
日本歌謡大賞・放送音楽新人賞を「ブルー」で、日本レコード大賞・最優秀新人賞を「かもめが翔んだ日」で受賞し、紅白歌合戦では「迷い道」を披露するという、史上初の「それぞれ違う曲で三冠達成」を実現したアーティストなんです。
「唇よ、熱く君を語れ」や「たとえば…たとえば」も大好きです!
今回の『夜会』はこの渡辺さんの存在が大きかったです。
渡辺さんがいるだけで、舞台が華やかに明るくなりますし、コメディエンヌの才能もおありだし、歌手としての力量も圧倒的に素晴らしかったです。
みゆきさんとふたりで歌われた「思い出だけではつらすぎる」や、石田匠さんと二人で歌われた「後悔は無いけれど」どちらも圧巻の歌唱力でした。
クライマックスで「放生」という曲が歌われます。
「放生」とは、捕らえた生き物を逃がしてやること。仏教の善行の一つの意味だそうですが、今回の『夜会』のテーマはここにあるように思いました。
ラストで雪崩が起き、ホテルは崩壊するのですが、社会から隔絶されたような場所に建つホテルという場所に捕らえられ、縛られ、逃げたくても逃げられなかった人たちを解放してあげるという意味が込められていたのか知れません。
因習や規則や、自分を抑え込んでいる足枷なんかに囚われず、人は自由に生きればいいんだと、みゆきさんに言われたような気がします。
解釈は人それぞれだと思いますが、いつもいつも「どえらいもの」を観せてくれて感謝です!
2017年4月~9月にテレビ朝日系で放送された帯ドラマ『やすらぎの郷』に続いて、今年4月から同局系で1年にわたって放送予定の新ドラマ『やすらぎの刻~道』の主題歌をみゆきさんがまたまた担当されたようです。
『やすらぎの郷』の主題歌「慕情」と「人生の素人」は良い曲でしたから〜。
新ドラマ『やすらぎの刻~道』、主演の八千草薫さんが、ご病気で降板されましたが、放送を楽しみに待ちたいと思います。
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