こんにちは。

 

黒柳徹子さんがライフワークとして演じ続けてこられた「黒柳徹子海外コメディ・シリーズ」が今月10月に記念すべき30回を達成しました!

黒柳さんは、1989年からほぼ年1回のペースでブロードウェイやロンドンで話題となった、ニール・サイモンやピーター・シェーファーなどの知的ユーモアが散りばめられた戯曲を積極的に上演されてきたんですよね。

 

記念すべき30本目の作品として黒柳さんはピーター・シェーファー作『レティスとラベッジ』を選ばれました。

 

『レティスとラベッジ』は、1989年から始まった「黒柳徹子海外コメディ・シリーズ」1作目として日本で初演され大好評を博し、本シリーズのスタート地点となった記念すべき作品です。

 

初演では、黒柳徹子さん×山岡久乃さんの名掛け合いで大好評を博したそうですね。2000年の再演時には、初演で山岡久乃さんが演じたロッテ役を高畑淳子さんが好演。今回はロッテ役に麻美れいさんを迎え、初演から27年ぶり、再演から16年ぶりに、待望のリニューアル上演が実現したのです。

 

今までの「黒柳徹子海外コメディ・シリーズ」上演リストです。
◎レティスとラベッジ (1989年6月~7月)
◎口から耳へ、耳から口へ RUMORS (1990年10月)
◎リリーとリリー (1991年10月~11月)
◎マダム・バブル (1992年10月~11月)
◎カラミティ・ジェーン (1993年10月~11月)
◎シャンブル・マンダリン 駅前ホテルのお客 (1995年1月~2月)
◎幸せの背くらべ Three Tall Women (1996年3月~4月)
◎マスター・クラス (1996年10月~11月)
◎幸せの背くらべ Three Tall Women (1997年3月~4月)
◎ライオンのあとで (1997年10月~11月)
◎喜劇キュリー夫人 (1998年10月~11月)
◎マスター・クラス (1999年4月~5月)
◎マレーネ (1999年10月~11月)
◎レティスとラベッジ (2000年11月~12月)
◎ポンコツ車のレディ (2001年10月~11月)
◎ブロンドに首ったけ (2002年11月~12月)
◎幸せの背くらべ Three Tall Women (2003年10月)
◎ローズのジレンマ (2004年10月)
◎ふたりのカレンダー (2005年10月)
◎ルーマーズ ~口から耳へ、耳から口へ~ (2006年10月)
◎リグレッツ・オンリー ~万障お繰り合わせの上お越しください~ (2007年10月~11月)
◎ローズのジレンマ (2008年10月)
◎ベッドルーム・ファンタジー (2009年10月)
◎33の変奏曲 (2010年10月)
◎想い出のカルテット (2011年10月)
◎ルーマーズ ~口から耳へ、耳から口へ~ (2012年10月)
◎ステラとジョーイ (2013年5月)
◎想い出のカルテット~もう一度唄わせて~ (2014年3月)
◎ルーマーズ ~口から耳へ、耳から口へ~ (2015年5月)

 

「黒柳徹子海外コメディ・シリーズ」は、銀座セゾン劇場(2000年にル テアトル銀座と改称)のプロデュース公演として1989年にスタートし、以来27年間、黒柳徹子さんはほぼ毎年、新作翻訳劇に挑まれ、これまでに21演目29作品の舞台に立たれてきました。1996年には、本シリーズの「幸せの背くらべ」と「マスター・クラス」で、舞台女優最高の名誉ともいうべき毎日芸術賞と読売演劇大賞の大賞及び最優秀女優賞を受賞されました。

 

2013年にル テアトル銀座が閉館し、このシリーズはどうなるんだろうと思っていたら、2014年からは、会場が銀座から六本木のEXシアター六本木に移り上演は続いてきました。

 

僕は過去に◎マスター・クラス ◎ライオンのあとで ◎喜劇キュリー夫人の3本を観ていました。黒柳さんが、マリア・カラスを演じた『マスター・クラス』は本当に感銘を受けた舞台の一つで、僕の心にいつまでも彩やかに焼きついています。

 

友人は黒柳さんの「海外コメディ・シリーズ」が大好きで毎回、観に行っていたようです。今回、シリーズ第30弾 記念公演ということで誘ってくれたので、久しぶりに女優・黒柳樹子さんに会いに行ってきました。今日はその感想を書いておきます。

 

『レティスとラベッジ』
◎会場・EXシアター六本木
◎作・ピーター・シェーファー
◎訳・黒田絵美子さん
◎演出・高橋昌也さん
◎演出補・前川錬一さん
◎出演・黒柳徹子さん 麻実れいさん 上杉陽一さん 蔵下穂波さん 団時朗さん 他

 

<STORY>
ロンドンの観光ガイド、レティス(黒柳徹子さん)は、あまりにもマニュアル通りに、台本に書かれたセリフを読むだけのような退屈な毎日に飽き飽きしていました。観光客にもそれが伝わり、皆、最後まで聞こうとせず、話し始めたり、その場を立ち去っていく人もいます。

ある日とうとう我慢できなくなったレティスは、観光客の前で、有る事無い事、面白おかしく尾ひれを付けた説明をはじめてしまうのです。シェイクスピア俳優だった母親の血を引くレティスのおしゃべりガイドは、日に日にエスカレートしていきます。

それが評判を呼び、観光客の数も増えますが、その熱演の噂を聞きつけた歴史保存委員会の堅物職員ロッテ(麻実れいさん)が視察にやってきて、レティスを事務所に呼びつけ、クビを宣告するのです。

ところが後日ロッテがレティスのアパートを訪れます。それから二人の関係が変化してゆくのです…。

 

作者のピーター・シェーファーは今年の6月に亡くなられましたね。代表作は、所有物との関連で人々に与える心理的な影響を追求した、暗闇の中で展開するコメディー作品『ブラック・コメディ(1965年)』や1975年に最優秀作品としてトニー賞、ニューヨーク劇作批評家賞を受賞し、1977年に映画化もされ、2007年2月にはロンドンで、ダニエル・ラドクリフ主演で上演され、大きな話題になった、6頭の馬の目を突いた少年アランと、彼の治療を依頼された精神科医ダイサートの二人の心理的葛藤を描いた作品『エクウス(1973年)』や1981年に最優秀作品としてトニー賞を受賞し、1984年には映画化され、作品賞・脚色賞を含む8つのアカデミー賞を受賞した、宮廷作曲家アントニオ・サリエリが嫉妬からモーツァルトを破滅させる物語『アマデウス(1979年)』などが有名ですね。

 

今年は劇団四季が『エクウス』を久しぶりに上演してくれて観ることができたし(このblogで感想を書いてます)、ピーター・シェーファーが亡くなった年に2本も彼の代表作が観れたことに感謝したいです。

 

ピーター・シェーファーが書いた戯曲で『The Pad and How to Use It(1966年)』という作品があるのですが、1972年に『フォロー・ミー(Follow Me)』というタイトルで映画化されているのです。ミア・ファロー主演でこれも名作なので興味のある方は観て欲しいですね。

 

『レティスとラベッジ』を僕が観たいなあと思った理由の一つは、「海外コメディ・シリーズ」第30弾 記念公演ということもありましたが、麻実れいさんが黒柳さんと共演されると聞いたからです。

 

今年の5月にケラリーノ・サンドロヴィッチさん演出で、シアターコクーンで上演された『8月の家族たち』という舞台(このblogで感想を書いてます)での麻実さんが素晴らしかったし、麻実さんはシリアスなお芝居の印象が強い方なので、コメディと聞いてぜひ観たいと思っていたのです。

 

楽しいお芝居でしたよ〜(笑)。一見、性格も見た目も正反対に見えるレティスとロッテが最初は反目しながらも、次第にお互いを理解し、考え方に共感していく様が、とても巧みに描かれていて、演じる俳優の力量が試されるお芝居だなあと感じました。ジャケットにタイトスカート姿で長身でスリムの堅物ロッテが、自由奔放にいきている、レティスの生き生きとした姿に触れ、少しづつ心が解きほぐされていく様子が、テンポの良い会話で綴られていて、物語に引き込まれました。

 

でも自由気ままにいきているように見えるレティスの、年齢を重ね、女性が一人で生きてゆくことの難しさや寂しさもキッチリと描かれていて、ちょっとホロリとさせられたり、名戯曲だな〜と思いました。

 

黒柳さん本人の愛らしさ、女優として演じることへのしたたかさが程よく混じり合っていて、悲劇もいいけど喜劇もやっぱりいいもんだと久しぶりに感じたひと時でした。

 

弁護士バードルフを演じた団時朗さん。可笑しかったです〜(笑)。帰ってきたウルトラマンですよ〜。草刈正雄さんもそうですが、二枚目が大真面目に変なことをすると可笑しいんですよね〜。最高でした。

 

麻実れいさんも舞台上で下を向いて、笑いをこらえてらしたように見えました(笑)。

 

黒柳さんの舞台は終演後にトークショーがあるのですが、今回のお衣装は昨年の紅白歌合戦で着てらした、ビーズ刺繍作家の田川啓二さんデザインの素晴らしいドレスでした。キラキラで綺麗でした〜。

 

お話は今年亡くなられた、永六輔さんや兄妹のように過ごしてこられた、渥美清さんとの思い出を語ってくださいました。笑いに満ちた楽しいお話でしたけれど、次第に聞いているうちに胸や目頭が熱くなるようで感動しました。そしてまだまだこれからも舞台に立ち続けますと力強く宣言してくださったので、これからも健康には気をつけていただいて、僕たちに笑いと涙を届けていただきたいと思います。

 

あたたかい幸せをいただきました。
ありがとうございました。

 

 

 

 

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