こんにちは。

悔やまない 好きだからこそ
すべてを捨てて生きた日々に悔いはない
永遠のミュージカル『コーラスライン』

一週間前になりますが、劇団四季の『コーラスライン』を観てきました。僕は熱心な四季のファンというわけではありませんが、友人が「四季の会(劇団四季の演劇を愛し、活動を応援するファンの集い)」の会員で、今回の公演は特別だからと誘われたのです。

何が特別なのかと言いますと、僕が観劇した9月25日は1979年9月、日生劇場で劇団四季の『コーラスライン』が幕を開けてから通算2000回目の上演だったのです。

公演は浜松町の四季劇場に隣接する、JR東日本アートセンター自由劇場です。劇団四季が主にストレートプレイを上演するための専用劇場で、劇団四季の創立50周年記念事業として四季劇場[春][秋]の隣に2003年(平成15年)11月11日にオープンしました。僕の大好きな戯曲、三島由紀夫さん作「鹿鳴館」もここで上演されています。

劇場の前に立つと、イタリアのローマにある古い建物にきたような錯覚に陥ります。ロビーも深い赤色で統一されていて、少し狭いのですが、いい雰囲気の素敵な劇場だと思います。

友人が頑張って、前から4列目のいい席を取ってくれたので、上演時間2時間25分、途中休憩なし、堪能しました(笑)。

『コーラスライン』は1975年4月、ニューヨーク、オフ・ブロードウェイのパブリック・ニューマン劇場(299席)でその幕を開けました。実際にダンサーを集め、徹底的なインタビューを行ったマイケル・ベネット(原案・振付・演出)は、ショービジネスの世界で舞台にすべてをかける若者たちの姿、彼らが抱える複雑な家庭環境、思春期の戸惑い、性の悩み、希望や不安、苦悩を赤裸々に描き出すことに成功し、プレビューを開始するやいなや爆発的な大ヒットとなり、3ヶ月後にはオン・ブロードウェイに進出、10月19日にはシューバート劇場で初日を迎えたのです。

翌76年のトニー賞では最優秀作品賞、振付賞を含む9部門を独占受賞するという快挙を成し遂げ、その他ピューリッツァー賞演劇部門賞、ニューヨークドラマデスク批評家賞なども連続受賞します。

人気はとどまることを知らず、前人未到のロングラン公演へと突入します。1983年9月にはそれまで『グリース』が持っていたブロードウェイ最長ロングラン記録を破り、85年には映画化。日本でも大ヒットとなりました。

オフ・ブロードウェイでの初日から15年が経った1990年、いよいよ閉幕が発表されるも、閉幕を惜しむ人々が劇場へ足を運び公演は延長され、4月28日になってとうとう幕がおろされたのです。

その記録、6,137回公演、観客動員数664万人。
現在も世界各国で上演され続けているミュージカルなのです。

ブロードウェイで大ヒット中のミュージカルに、日本でももちろん注目が集まっていたそうですが、上演契約についてはアメリカの製作サイドが大変慎重だったそうなんです。

しかしそんな中、訪中後に日本に立ち寄ったマイケル・ベネット(原案・振付・演出)と劇団四季首脳陣の会談が実現し、稽古場を見学したベネットは、四季のダンス力、演技レベルに太鼓判を押し、上演が決定したんだそうです。

そして、出演者全員をオーディションで決めることが発表されます。

オーディションを描いたミュージカルの出演者を、オーディションで選ぶ…。

それまでの日本では、主役も含め出演者全員をオーディションで選ぶことは珍しいことであり、この発表はセンセーショナルな反響を呼んだんですね。

宝塚歌劇団や松竹歌劇団、日劇ダンシングチーム出身者ほか、新劇の俳優や学生など400名を越える応募が集まっそうですが、書類・一次審査を通過したのは劇団四季内部からの37名を含め61名。

来日した振付助手、マイケル・リードによる1ヶ月の猛特訓を耐え抜いた者の中からさらに絞られ、マイケル・ベネットも参加した舞台稽古を経て迎えた1979年9月の初日。

初演プログラムに載った名前は26名だったそうです。

開幕後の大きな反響を受け、全国公演をはさんで東京で年明けすぐに再演された『コーラスライン』。その後も各地で大々的なオーディションを繰り返し、優秀な人材を発掘しつつこの上演を続け、現在に至っているのです。

そして今年の今回の公演をもって2000回迎えられたのです!

劇団四季の数あるレパートリーの中でも最も重要な作品として、上演が続けられる名作の一つですね。

『コーラスライン』ストーリーを簡単に紹介します。
ショービジネスの街、ブロードウェイ。舞台上には1本の白いライン、コーラスラインが引かれています。新作ミュージカルでのコーラスダンサーを選ぶオーディションが行われています。最終選考に残った17人が、1本のラインに並びます。そこに演出家ザックが彼等にこう問いかけます。

「履歴書に書いてないことを話してもらおう。君たちがどんな人間なのか」

姉さんのレッスンにくっついていっただけなのに、いつの間にか自分がダンサーになっていたマイク。

複雑な家庭環境の中で、何もかもが美しく夢のようなバレエに憧れたシーラ・マギー・ビビ。

ダンスでは誰にも負けない自信があるが音痴のクリスティン。

高校の芸術コースで落ちこぼれて、独学で女優になったディアナ。

美容整形を受けてからどんどん仕事に恵まれるようになったヴァル。

ゲイクラブのショーで女装で踊っていたポール。

そしてザックのかつての恋人で、スターへの階段を踏み外し、もう一度やりなおそうと戻ってきたキャシー。

戸惑いながらも、一人一人が自分の人生を語りはじめます。自分の人生では誰もが「主役」であり、境遇も悩みもそれぞれだということが皆にわかってきます。

選考が進んでいくうちに、ポールが足を痛めてしまうのです。全員がかけより手を貸す中で、オーディションの下、共に舞台を目指す仲間意識が生まれていることに気がつくのです。

そんな中、演出家ザックは皆に問いかけます。

「もし、今日を最後に踊れなくなったらどうする?」

皆はこう答えます。「悔やまない 選んだ道がどんなにつらくても全てを捨てて生きた日々に悔いはない」と。

そして最終決定が下されるのです…。

〈キャスト〉
◎ザック/荒川 務さん
◎ラリー/政所和行さん
◎ダン/中村 巌さん
◎マギー/和田 侑子さん
◎マイク/高橋伊久磨さん
◎コニー/髙野 唯さん
◎グレッグ 塚田 拓也さん
◎キャシー 井上 佳奈さん
◎シーラ/恒川 愛さん
◎ボビー/丹下博喜さん
◎ビビ/持田 沙希さん
◎ジュディ/川井 美奈子さん
◎リチー/深堀 拓也さん
◎アル/川口 雄二さん
◎クリスティン/引木 愛さん
◎ヴァル/三平 果歩さん
◎マーク/大村 真佑さん
◎ポール/斎藤 洋一郎さん
◎ディアナ/松山 育恵さん

『コーラスライン』は1985年に映画版が公開されています。監督は『ガンジー』でアカデミー監督賞を受賞し、近年では『ジュラシック・パーク』の実業家ジョン・ハモンド役で知られているリチャード・アッテンボロー。演出家ザックはマイケル・ダグラスが演じていました。

僕は映画版は観ていたのですが、あまり深く心に残るような作品ではなかったのです。観た時の環境や年齢にもよるとは思うのですが、なので最初、友人からこの観劇を誘われた時はちょっととまどいました。しかし観にいって良かったです~。とても感動しました。

『コーラスライン』豪華な装置もきらびやかな衣裳もない、1本の白いラインが引かれただけの舞台。そこで赤裸々に描き出される、ショウ・ビジネスの世界で生きていきたいと願う若者たちの心の叫びを描いた異色の“バックステージ・ミュージカル”です。

純粋でひたむきに、叶えたい夢に向かって努力を惜しまない様々な人間の清らかな魂がシンプルにダイレクトに胸を打つ素晴らしい舞台でした。

頑張ったからと誰もがご褒美をもらえるわけではありません。周りの誰よりも努力はしていると思っても、選ばれなければなんの意味もない世界なのです。

楽をして夢が掴めるなんてことはありえない。苦難に満ちた道だとしても、頑張ったその先には輝かしい光が迎えてくれる…。僕はそう信じたいです。馬鹿だと言われてもです(笑)。

決してスター(主役)ではない、舞台の枠を飾るためのコーラスダンサー。それでもその一員としての席を勝ち取るために苦悩し、葛藤し、闘う彼らの“舞台裏の真実”に心を揺さぶられました。

大きな節目となった今回の2000回目の公演は、感謝のメッセージが刻まれた記念シールが来場者に配られました。

カーテンコールではザック役の荒川 務さんが「『コーラスライン』は今を生きる私たちの物語です。これからもこの作品の熱い感動をしっかりとお届けできるよう、精一杯務めて参ります」と挨拶され客席から熱い拍手が盛大に送られました。

僕もおもわずスタンディングオベーションしてしまいました。僕は滅多にしないんですけどね(笑)。

荒川 務さんが本当に嬉しそうな笑顔でしたね~。荒川さんは長年「コーラスライン 」ではボビー役をされていたそうで、今回2000回を迎えられて感慨無量だったのではないでしょうか。

年齢なんか関係ないですよ。夢を追っている人にはぜひ観てほしいミュージカルです。

悔いはないといえる人生…。素敵じゃないですか。


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