こんばんは。
女優の大原麗子さんが亡くなって今年の8月で3回忌になります。大好きな女優さんの一人でした。
久し振りに本屋さんへ行くと「大原麗子 炎のように」という単行本が平積みされていました。著者はフジテレビ朝の情報番組「とくダネ」で芸能コーナーを担当されている前田忠明さんです。中身も見ずに即買いし、一気に読んでしまいました。
ギラン・バレー症候群という難病や乳癌とも戦いながら、女優としての信念を貫いて亡くなった一人の女性の姿が痛いほど胸に響きました。
あまり語られたことがなかったお父さんとの確執や実の弟さんの姉、麗子さんに寄せる想いなど興味深い内容でした。
大原さんが出演した作品、好きのものたくさんあります。
思いつくままあげてみましょうか。
映画では
「孤独の賭け」
大原さんの映画デビュー作。佐久間良子さんの姪の役で、小生意気な女の子を好演していました。
「大奥絵巻」
僕の中で大奥物といえばこの作品です。淡島千景さん、佐久間良子さんと三姉妹の役でしたね。
市川崑監督の3作品、
「火の鳥」
手塚治虫さんの漫画が原作で黎明編の映画化でヒナク役です。僕は大好きな作品ですけど
何故かソフト化されていないんですよ~。
「獄門等」
横溝正史さん原作の有名なミステリーで金田一耕助シリーズ第3弾。大原さんは早苗という可憐な女性の役で金田一が唯一恋する女性なんですよね。
「おはん」
市川監督が名作「細雪」の後に撮った愛すべき小品です。吉永小百合さん演じる「おはん」と対照的な自分に嘘が付けない女性「おかよ」を情熱的に演じてられました。
それと市川崑監督といえばサントリーレッドのCMですよね~。
「少し愛して、なが~く愛して」あの独特の少しかすれた甘い声は忘れられません。13年間続いた名作CMでした。
ドラマでは
東芝日曜劇場1200回記念として製作された橋田壽賀子さんが忠臣蔵を討ち入りにかかわった女性の立場から描いた「女たちの忠臣蔵」。これはドラマ史に残る傑作だと思います。キャストが凄いんです。当時の映画界、演劇界から大御所女優さんたちが大挙出演されていて女優さんの見本市みたいなドラマです。大原さんは赤穂浪士の娘役で吉原の深雪大夫という花魁の役でした。
東芝日曜劇場1500回を記念して製作されたこれも橋田壽賀子さん脚本の「花のこころ」大原さんの役は徳川家光の側室で、四代将軍家綱の生母「おらん」です。女として本当の幸せとは…というのがテーマでした。
大佛次郎さんの原作を寺内小春さんが脚色した時代劇スベシャル「三姉妹」も忘れられない作品です。幕末から明治にかけての動乱期に時代という波に翻弄されながらも、自分の人生を生き抜いた美しい三姉妹の物語です。長女が若尾文子さん、次女が大原さん、三女が浅野ゆう子さんでした。西城秀樹さんも出てましたよ。凛とした次女役の大原さん素敵でした。
TBS創立40周年を記念して製作された橋田壽賀子さん脚色の「源氏物語」。上の巻と下の巻がある超大作でした。なんと制作費12億円だそうです。このドラマは長い間再放送されなかったのですが、源氏物語千年紀の年にやっと再放送されたのです。見応えありました~。大原さんの役は藤壷の女御と紫の上の二役でした。このドラマは美術が凄いんですよ~。衣装監修が坂東玉三郎さん。これもDVD化してほしい作品ですね。
1984年の新春にテレビ朝日で放送された「序の舞」。原作は宮尾登美子さんで日本画家の上村松園さんの一生を描いた小説のドラマ化です。いい小説なんですよ~。吉川英治文学賞受賞作です。映画版では名取裕子さんが演じていました。僕は映画版も好きですけど大原さんのこのドラマの方が原作には忠実で、有名な「焔」「序の舞」という作品は如何にして生まれたのかということがきっちり描かれていたので良かったと思います。もう一度みたい作品です。
「女たちの忠臣蔵」「花のこころ」「三姉妹」「源氏物語」などを製作した名プロデューサー石井ふく子さん(渡る世間は鬼ばかりの生みの親)の実の母親をモデルに昭和の名女優、高峰秀子さんが初めて脚本を書いたという「忍ばずの女」。石井さんのお母様は明治・大正・昭和を生き抜いた上野下谷の有名な名妓だった人で、生前、大原さんをとても可愛がってくれたそうです。森光子さんが長女で石井さんが次女で大原さんが三女だとよく言われていたそうです。この作品の大原さんは自分をとても大切にしてくれた恩人のような方を演じているので熱の入り方が違うのが見ていて伝わります。芸者姿が艶やかでとっても綺麗な大原さんが見れますよ。大原さんのお母さん役の森光子さんが憎らしい程うまいんです!
今まで紹介したのはすべて単発のスペシャルドラマでしたが、連続ドラマで印象的だったのは「くれない族の反乱」です。TBS系列の金曜ドラマ枠で1984年に放送されたテレビドラマで、「…してくれない」という『くれない族』という言葉が流行語になりました。最近はこういう社会的な反響を呼ぶようなドラマって減りましたね。主題歌は竹内まりやさんの「もう一度」大ヒットでした。このドラマのおもしろいところはサブタイトルが曲のタイトルになっているところです。
第1回 ラブ・イズ・オーバー
第2回 夢芝居
第3回 忘れていいの
第4回 イエスタディ
第5回 悲しい色やね
第6回 氷雨
第7回 時の過ぎゆくままに
第8回 泣かせて
第9回 もう一度
大原さんの追悼でCSのTBSチャンネルで「くれない族の反乱」は一気に再放送されたんです。最近は大人が毎週楽しみにするようなこういうドラマが無くて淋しいですね。
この本の中で印象的だった大原さんの言葉を書いてみますね。仕事の打ち合わせの時にマネージャーが「今後の付き合いもあるし、このへんで妥協してもいいのではないですか」と言った時の大原さんの言葉「私は今、この一本にかけてるの。次の仕事のことなんて考えられないわ」
「品川心中」という舞台の公演中、じん帯を切って痛みに耐えて舞台を最後まで乗り切った時の言葉。「これでも女優のはしくれです。ファンの皆様に「大原麗子は良かった」と思って帰ってほしい。だから舞台は絶対に休みたくなかった。最高の演技を見せたかった。そのために、どれくらい痛み止めを注射したかわからない。あなたはわかる?私は女優なんです。皆様に夢を売る女優なんです。舞台に上がり続けるのは女優の宿命なんです。わかってくれますか。」
こういう言葉を聞くだけでも女優というものに命を捧げていた人だったんだなと感じます。あのやさしい笑顔の裏にはこんな激しい覚悟と情熱が隠されていたんですね。
晩年は一人暮らしで、亡くなった時、マスコミは孤独死なんて書いていましたがこの本を読めばそんなことはなかったんだと分かると思います。大原さんはこう言っていたそうです。「私は私。後悔しないように自分らしく生きたい。自分を偽らず、真に納得いくことだけをやっていきたい。自分の人生を日々、新しく生きていく。そういう覚悟でやってきたの。」こう言える人が孤独なわけはないと思います。
病気を直して女優として復帰するんだと本気でおっしゃっていたそうです。突然の死はファンとして寂しかったですけど本のタイトルのように炎のように燃え尽きた一生だったのでしょうね。
葬儀の時の浅丘ルリ子さんが読んだ弔辞が全文この本に載っています。感動的ですよ。ぜひ読んでほしいです。妹のようなに可愛がっていた大原さんへの愛があふれた文章です。
さてDVDライブラリーの中から市川崑監督の「おはん」でも見て大原さんを偲びましょうか。
なんだかこの頃、色んな人を偲んでばかりのような気がします~。
女優の大原麗子さんが亡くなって今年の8月で3回忌になります。大好きな女優さんの一人でした。
久し振りに本屋さんへ行くと「大原麗子 炎のように」という単行本が平積みされていました。著者はフジテレビ朝の情報番組「とくダネ」で芸能コーナーを担当されている前田忠明さんです。中身も見ずに即買いし、一気に読んでしまいました。
ギラン・バレー症候群という難病や乳癌とも戦いながら、女優としての信念を貫いて亡くなった一人の女性の姿が痛いほど胸に響きました。
あまり語られたことがなかったお父さんとの確執や実の弟さんの姉、麗子さんに寄せる想いなど興味深い内容でした。
大原さんが出演した作品、好きのものたくさんあります。
思いつくままあげてみましょうか。
映画では
「孤独の賭け」
大原さんの映画デビュー作。佐久間良子さんの姪の役で、小生意気な女の子を好演していました。
「大奥絵巻」
僕の中で大奥物といえばこの作品です。淡島千景さん、佐久間良子さんと三姉妹の役でしたね。
市川崑監督の3作品、
「火の鳥」
手塚治虫さんの漫画が原作で黎明編の映画化でヒナク役です。僕は大好きな作品ですけど
何故かソフト化されていないんですよ~。
「獄門等」
横溝正史さん原作の有名なミステリーで金田一耕助シリーズ第3弾。大原さんは早苗という可憐な女性の役で金田一が唯一恋する女性なんですよね。
「おはん」
市川監督が名作「細雪」の後に撮った愛すべき小品です。吉永小百合さん演じる「おはん」と対照的な自分に嘘が付けない女性「おかよ」を情熱的に演じてられました。
それと市川崑監督といえばサントリーレッドのCMですよね~。
「少し愛して、なが~く愛して」あの独特の少しかすれた甘い声は忘れられません。13年間続いた名作CMでした。
ドラマでは
東芝日曜劇場1200回記念として製作された橋田壽賀子さんが忠臣蔵を討ち入りにかかわった女性の立場から描いた「女たちの忠臣蔵」。これはドラマ史に残る傑作だと思います。キャストが凄いんです。当時の映画界、演劇界から大御所女優さんたちが大挙出演されていて女優さんの見本市みたいなドラマです。大原さんは赤穂浪士の娘役で吉原の深雪大夫という花魁の役でした。
東芝日曜劇場1500回を記念して製作されたこれも橋田壽賀子さん脚本の「花のこころ」大原さんの役は徳川家光の側室で、四代将軍家綱の生母「おらん」です。女として本当の幸せとは…というのがテーマでした。
大佛次郎さんの原作を寺内小春さんが脚色した時代劇スベシャル「三姉妹」も忘れられない作品です。幕末から明治にかけての動乱期に時代という波に翻弄されながらも、自分の人生を生き抜いた美しい三姉妹の物語です。長女が若尾文子さん、次女が大原さん、三女が浅野ゆう子さんでした。西城秀樹さんも出てましたよ。凛とした次女役の大原さん素敵でした。
TBS創立40周年を記念して製作された橋田壽賀子さん脚色の「源氏物語」。上の巻と下の巻がある超大作でした。なんと制作費12億円だそうです。このドラマは長い間再放送されなかったのですが、源氏物語千年紀の年にやっと再放送されたのです。見応えありました~。大原さんの役は藤壷の女御と紫の上の二役でした。このドラマは美術が凄いんですよ~。衣装監修が坂東玉三郎さん。これもDVD化してほしい作品ですね。
1984年の新春にテレビ朝日で放送された「序の舞」。原作は宮尾登美子さんで日本画家の上村松園さんの一生を描いた小説のドラマ化です。いい小説なんですよ~。吉川英治文学賞受賞作です。映画版では名取裕子さんが演じていました。僕は映画版も好きですけど大原さんのこのドラマの方が原作には忠実で、有名な「焔」「序の舞」という作品は如何にして生まれたのかということがきっちり描かれていたので良かったと思います。もう一度みたい作品です。
「女たちの忠臣蔵」「花のこころ」「三姉妹」「源氏物語」などを製作した名プロデューサー石井ふく子さん(渡る世間は鬼ばかりの生みの親)の実の母親をモデルに昭和の名女優、高峰秀子さんが初めて脚本を書いたという「忍ばずの女」。石井さんのお母様は明治・大正・昭和を生き抜いた上野下谷の有名な名妓だった人で、生前、大原さんをとても可愛がってくれたそうです。森光子さんが長女で石井さんが次女で大原さんが三女だとよく言われていたそうです。この作品の大原さんは自分をとても大切にしてくれた恩人のような方を演じているので熱の入り方が違うのが見ていて伝わります。芸者姿が艶やかでとっても綺麗な大原さんが見れますよ。大原さんのお母さん役の森光子さんが憎らしい程うまいんです!
今まで紹介したのはすべて単発のスペシャルドラマでしたが、連続ドラマで印象的だったのは「くれない族の反乱」です。TBS系列の金曜ドラマ枠で1984年に放送されたテレビドラマで、「…してくれない」という『くれない族』という言葉が流行語になりました。最近はこういう社会的な反響を呼ぶようなドラマって減りましたね。主題歌は竹内まりやさんの「もう一度」大ヒットでした。このドラマのおもしろいところはサブタイトルが曲のタイトルになっているところです。
第1回 ラブ・イズ・オーバー
第2回 夢芝居
第3回 忘れていいの
第4回 イエスタディ
第5回 悲しい色やね
第6回 氷雨
第7回 時の過ぎゆくままに
第8回 泣かせて
第9回 もう一度
大原さんの追悼でCSのTBSチャンネルで「くれない族の反乱」は一気に再放送されたんです。最近は大人が毎週楽しみにするようなこういうドラマが無くて淋しいですね。
この本の中で印象的だった大原さんの言葉を書いてみますね。仕事の打ち合わせの時にマネージャーが「今後の付き合いもあるし、このへんで妥協してもいいのではないですか」と言った時の大原さんの言葉「私は今、この一本にかけてるの。次の仕事のことなんて考えられないわ」
「品川心中」という舞台の公演中、じん帯を切って痛みに耐えて舞台を最後まで乗り切った時の言葉。「これでも女優のはしくれです。ファンの皆様に「大原麗子は良かった」と思って帰ってほしい。だから舞台は絶対に休みたくなかった。最高の演技を見せたかった。そのために、どれくらい痛み止めを注射したかわからない。あなたはわかる?私は女優なんです。皆様に夢を売る女優なんです。舞台に上がり続けるのは女優の宿命なんです。わかってくれますか。」
こういう言葉を聞くだけでも女優というものに命を捧げていた人だったんだなと感じます。あのやさしい笑顔の裏にはこんな激しい覚悟と情熱が隠されていたんですね。
晩年は一人暮らしで、亡くなった時、マスコミは孤独死なんて書いていましたがこの本を読めばそんなことはなかったんだと分かると思います。大原さんはこう言っていたそうです。「私は私。後悔しないように自分らしく生きたい。自分を偽らず、真に納得いくことだけをやっていきたい。自分の人生を日々、新しく生きていく。そういう覚悟でやってきたの。」こう言える人が孤独なわけはないと思います。
病気を直して女優として復帰するんだと本気でおっしゃっていたそうです。突然の死はファンとして寂しかったですけど本のタイトルのように炎のように燃え尽きた一生だったのでしょうね。
葬儀の時の浅丘ルリ子さんが読んだ弔辞が全文この本に載っています。感動的ですよ。ぜひ読んでほしいです。妹のようなに可愛がっていた大原さんへの愛があふれた文章です。
さてDVDライブラリーの中から市川崑監督の「おはん」でも見て大原さんを偲びましょうか。
なんだかこの頃、色んな人を偲んでばかりのような気がします~。