こんばんは。

少し前に購入した本の話をしようと思います。タイトルは「元気な時代、それは山口百恵です 31日間の現在写真」著者は写真家の篠山紀信さんです。篠山さんがスポーツニッポン紙上で連載されていたコラムをまとめたものです。見開きの左側に写真、右側がその写真についてのコラムになっています。カバー写真が1973年7月に篠山さんが初めて撮影した中学3年生の山口百恵さんの写真なんです。いい写真なんですよ~。百恵さん大好きです。掲載されている写真は31点です。(事情により1点だけ掲載されていないので30点なんですけどね。)篠山さんは文章もとってもお上手です!

以前ブログで僕の亡くなったヘアメイクアーティストの友人が篠山さんとグラビアのお仕事をよくさせていただいていたと書いたのですが、当時はグラビアが全盛で週刊現代、フラッシュ、フライデーなど毎日のように撮影がありました。表紙と巻頭のグラビアが数ページあるので大変そうでしたがいつもイキイキと仕事をしていました。それ以外にも宝塚グラフの表紙や写真集やデジキシンなどもありましたね。

グラビアって顔と頭だけではなく、タレントさんは肌の露出が多くなるので全身をファンデーションで塗らなくてはいけないんです。それも季節によって艶を出したり、光らせたり、明るめにしたりシャドウを強めにしたりと技術がいる仕事なんです。忙しいタレントさんは寝不足やストレスで肌が荒れている場合もあるし、吹き出物があるとコンシーラーで一つ一つ消してなにもなかったかのような肌に仕上げなければいけないのです。大切な仕事なんですよ。ヘアメイクでいかようにも変わってしまうんですよね。タレントさんが持っている魅力をもっともっと引き出してあげるお手伝いをすることなんです。

篠山さんとの仕事は戦いだといつも友人は言っていました。篠山さんは仕事が大好きなので、早くシャッターを押したいらしいんですね。なのでメイクはまだかといつも怒られると言っていましたが友人もプロなので自分が納得のできるものができるまで絶対妥協はしないと言っていつも待たせてると笑っていました。篠山さんも友人を高く評価してくれていたのでそれは解っていらしたのだと思います。

ある時、友人が篠山さんが女子大生を作品撮りするからヘアメイクたのまれたんだけど週末だし荷物運び手伝ってくれる? と言うので篠山さんのスタジオへ着いていくことになったのです。篠山さんの仕事は現場で何が起こるか解らないし自分も後悔したくないのでと友人の仕事道具は荷物が多かったのです。メイク道具に化粧品、ウィッグにエクステンション、髪を巻くコテやカーラー、ヘア飾りにリボンなどなど…

篠山紀信さんはこどもの頃から山口百恵さんのレコードジャケットを撮り続けてこられた方でマスコミによく取り上げられる方なのでお顔は知っていましたが、いざこ本人を目の前にすると緊張してしまって喉が乾いてしまいました。僕、苦手なんですよ~。すごい人見知りだし。ただのつきそいなのに篠山さんから食べなさいとお菓子をいただいたりして逆に気をつかわせてしまいました。情けないです。でもいい想い出です。友人に感謝です。

ファッションや広告の撮影をしているカメラマンの方はグラビアなどは少し下に見られている方もいるかも知れませんが友人を通して僕は篠山さんの写真にかける情熱を教えてもらいました。先生や巨匠と呼ばれてもそれに胡座をかくようなことはせずいつも写真が大好きなんだと叫んでいるような篠山紀信さんが大好きです。この本の17ページの写真を見てもらえれば僕の言うことが解ってもらえると思います。

友人が亡くなって、出棺の前日に遺体が安置されていた場所に真っ先に来てくれたのは篠山さんでした。棺の中の友人の顔をみながら「なんでこんなことに…」と言われてました。友人も篠山さんのお仕事のお手伝いが出来たことをいつも誇りに思っていました。
ありがとうございました。

僕は篠山紀信さんは世界一の写真家だと思っています。