※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。
太子誕生日小説かな多分。
ほのぼの。
*****************************
地面を踏みしめるとジャリジャリ、と特有の音がする。
先日降った大雪の跡がまだ道端には残っており、今太子が通っている道は建物も少なく、さらさらとした雪が解けてきたかわりに下にあった氷がむき出しになっている。
滑らないようにと自然と足に力が入り疲れてしまうので、なるべく氷の上を歩くのは避けたいところなのだが、一面を見渡すと、どうやらそうにもいかないようだ。
ひゅう、と冷たい風が頬をかすめる。
思わず吐いた息は白かった。
「う~、さっむ・・・。」
言葉までもが白いもやとなり暗がりに消えていく。
空を仰げば闇の中で星が随分主張していた。冬の夜空は澄んでいて星の輝き具合がよくわかる。
しかしどういう風の吹き回しだろうか、とふと疑問に思う。
太子が今夜道を歩いている理由は、あの全く従順じゃない部下、小野妹子に呼び出されたからだ。
こんな寒い中摂政を呼び出すとはどういう料簡だとぶつぶつ文句を言いながらも、彼から呼び出すのは珍しいことなので気になって行くことにした。
いや、物珍しさで行く、というより、正直嬉しかった。
いつもは自分が押しかけて、そして嫌な顔をされつつも渋々家にあげてくれるような妹子が、自分から誘うなんて。
普段邪険に扱っているように見えるが、実はまんざらでもないのだろう。
「あのツンデレお芋め・・・フフッ。
あー、しっかし寒いなあ・・・。」
身を震わせてから少しでも暖をとるため腕をさすった。
流石にジャージにマフラーだけでは夜の寒さをしのげないようだ。
そもそもこのジャージは年中着られるため冬用に特化しているわけでもないし、何よりノーパンだから歩くたび股間のあたりに冷たい風が通って寒い。
これは一刻も早く妹子の家へ行かねば。そして華麗なるスライディングでこたつへ入るんだ。
(・・・それにしても昼間は疲れたなあ。)
今日は朝から大変だった。
自分が誕生した日だからと豪勢な式典を開いたりあちらこちらからお祝いをもらったり。
おかげで一日中正装で肩が凝った。
あとで妹子に揉ませてやろう、とほぼ命令な頼みごとにほくそ笑む。
(朝廷であんな誕生日祝いなんかされても嬉しくないしなあ。)
所詮、太子の誕生祝と称してたいていはなかなかないこの機会に擦り寄っておこうと考える汚い奴らの集まりだ。
だいたいは高価な土産物などで釣ろうとするため、今日はガラクタが一気に増えた。
それに、心無い言葉ばかり聞かされて、表には出さなかったが精神的にも疲れた。
あとで妹子に癒してもらおう。なんなら肌で癒してくれてもいいんだぞ。
よこしまな考えを浮かべつつ歩いているといつの間にか玄関前まで来ていた。
戸を叩くと中から余所行きの声色で返事が返ってくる。
続いて足音が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。ふわりと暖気が舞いこんできた。
「あっ、太子。こんばんは。いらっしゃいませ。」
妹子は笑顔で太子を迎えた。
もはや珍しいなんてものじゃない。天変地異でも起こるのだろうか。
それに快い歓迎の言葉なんて今まで一度も聞いたことがない。
何か策があるのだろうかと、落とし穴でもないかと辺りを見回し警戒していると、独特の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
思わずクンと鼻を鳴らす。
「カレーだ!!」
「おや、よくわかりましたね。」
「当たり前だろ私の嗅覚をなめるな!」
ぱあっと目を輝かせながら太子は適当に靴を脱ぎ、廊下を駆けていった。
背後で妹子が文句を言いながら靴を並べる。
勢いでそのまま居間へと入ると、太子は途端に立ち止まり、目を瞠った。
そこには壁一面、色とりどりの折り紙で作った輪を繋げた鎖で飾られていた。
あとからゆっくりと歩いてきた妹子に、驚きを隠さず問いかける。
「え・・・なにこれ。」
「誕生会ですよ。」
「え?」
「今日アンタの誕生日でしょう?」
妹子の意図していることがわからず、そのまま固まっていると彼は少し照れくさそうに視線を下におろした。
「アンタ、普通の誕生会とかやったことないだろうと思って。」
「え、これが普通の誕生会なの!?」
「ええ、まあ。・・・児童の。」
「子どものかよズコーッ!」
ベタな漫画ばりの下手なツッコミを入れると、うっとおしそうに妹子の眉間に皺が寄った。
「ともかく!・・・まあ、いいでしょう?」
「うん、ありがとな!」
カレー持ってきます、と妹子は照れ隠しのようにふいっと踵を返した。
太子は寒さを思い出したかのようにこたつに潜り込み、満足げに頬を緩ませる。
こたつのぬくもりに対してだけではなく、妹子の気遣いが嬉しくてついぞ微笑んでしまったのだ。
恐らく妹子は自分のためを思って子どもらしい飾りつけをしてくれたのだろう。
きっと朝廷では堅苦しいものしか開かれないから、せめて本当に誕生を祝う会を自分が開こうと。
太子は不器用ながらもその心遣いがとても嬉しかった。
(だってそれって・・・愛してくれてる、ってことでしょ?)
愛、だなんて似合わぬ言葉を噛み締めるとふふっとまたもや笑みが零れた。
気持ちを抑えるために口許をこたつ布団で覆う。
その時、良い香りと共に軽い足音が聞こえてきた。
「太子ー、カレー持ってきましたよー。あれ、寝ちゃったんですか?」
「寝とらんわい!」
「あ、起きてた。」
「カレーを目の前にしてこの私が寝られるか!」
「この前寝てましたよね・・・。」
そうだっけ、と思い返すとそういえば寝ていたような気がする。
あの日はお気に入りのワンちゃんと一日中野原を駆け巡り、妹子の家へ押しかけるなりなんなり疲れが出て眠ってしまったんだった。
しかしそれはそれ、これはこれ、だ。
目の前にカレーが差し出されると、太子は喉を鳴らした。
ほかほかと立ちのぼる湯気が視覚的にも嗅覚的にも食欲をそそる。
「いただきまーす!」
「待ってください。」
勢いの良い食前の挨拶と共にスプーンを持ち、いざ食べようとしたところ、妹子が掌をこちらに向けてきて牽制された。
匂いで食欲をとことん刺激されてはいたが、おとなしく太子は手を止める。
「太子、あの・・・。お誕生日おめでとうございます。」
改まって言うような間柄じゃないせいか、きっと照れくさいのだろう。
けれど、うっすら頬を赤らめていても俯くことなく視線をちゃんと交えていた。
「・・・ありがとう!ところでケーキはないの?」
「そんなものありません。カレーが誕生日プレゼントです。」
「え~ケチ!まあカレー好きだからいいけど・・・。」
太子はわざと流れにそぐわないような、茶化したように明るく答えた。あまり固い空気は自分たちには似合わないからだ。
それをわかっていたかのように妹子も軽く受け流す。
それから改めて合掌し、二人はカレーを食べ始めた。
*
「・・・あ、じゃあさ、プレゼントは妹子!とか。」
どうしてもプレゼントが欲しいのか、まだその話をひきずっていた太子は咀嚼しながら口を開いた。
彼の頬には、どう食べたらそうなるのだろうというくらいの大量の米粒がくっついている。
汚い、と妹子は眉をひそめながら注意するが、それは耳に入っていないらしい。かまわずスプーンを口に運び込む。
妹子は呆れたようにため息をついた。
「はあ・・・。まあいいですけど・・・。」
「え、いいの!?」
「ていうか最初からそのつもりでしたし・・・。」
「え、何か言った?」
「いえ、なんでも。」
ごちそうさま、と満面の笑みを浮かべる太子につられて妹子も頬を緩めた。
また、彼の口周りを拭きながら、この人にはつくづく敵わないな、と思うのであった。
************************
*☆*:;;;:*☆*:;;;:あとがき*☆*:;;;:*☆*:;;;:
相変わらずスランプ!!
遅れて太子誕生日小説です。あまり行事ごとやらない(?)けど何か小説書きたくなったのでちょうどいいなあと。
太子誕生日おめでとう!!
何気にさらっと大胆発言を残していった妹子さん。
ではでは、いつもありがとうございます(*^ー^)ノ
また太妹が嫌いな方もです。
太子誕生日小説かな多分。
ほのぼの。
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地面を踏みしめるとジャリジャリ、と特有の音がする。
先日降った大雪の跡がまだ道端には残っており、今太子が通っている道は建物も少なく、さらさらとした雪が解けてきたかわりに下にあった氷がむき出しになっている。
滑らないようにと自然と足に力が入り疲れてしまうので、なるべく氷の上を歩くのは避けたいところなのだが、一面を見渡すと、どうやらそうにもいかないようだ。
ひゅう、と冷たい風が頬をかすめる。
思わず吐いた息は白かった。
「う~、さっむ・・・。」
言葉までもが白いもやとなり暗がりに消えていく。
空を仰げば闇の中で星が随分主張していた。冬の夜空は澄んでいて星の輝き具合がよくわかる。
しかしどういう風の吹き回しだろうか、とふと疑問に思う。
太子が今夜道を歩いている理由は、あの全く従順じゃない部下、小野妹子に呼び出されたからだ。
こんな寒い中摂政を呼び出すとはどういう料簡だとぶつぶつ文句を言いながらも、彼から呼び出すのは珍しいことなので気になって行くことにした。
いや、物珍しさで行く、というより、正直嬉しかった。
いつもは自分が押しかけて、そして嫌な顔をされつつも渋々家にあげてくれるような妹子が、自分から誘うなんて。
普段邪険に扱っているように見えるが、実はまんざらでもないのだろう。
「あのツンデレお芋め・・・フフッ。
あー、しっかし寒いなあ・・・。」
身を震わせてから少しでも暖をとるため腕をさすった。
流石にジャージにマフラーだけでは夜の寒さをしのげないようだ。
そもそもこのジャージは年中着られるため冬用に特化しているわけでもないし、何よりノーパンだから歩くたび股間のあたりに冷たい風が通って寒い。
これは一刻も早く妹子の家へ行かねば。そして華麗なるスライディングでこたつへ入るんだ。
(・・・それにしても昼間は疲れたなあ。)
今日は朝から大変だった。
自分が誕生した日だからと豪勢な式典を開いたりあちらこちらからお祝いをもらったり。
おかげで一日中正装で肩が凝った。
あとで妹子に揉ませてやろう、とほぼ命令な頼みごとにほくそ笑む。
(朝廷であんな誕生日祝いなんかされても嬉しくないしなあ。)
所詮、太子の誕生祝と称してたいていはなかなかないこの機会に擦り寄っておこうと考える汚い奴らの集まりだ。
だいたいは高価な土産物などで釣ろうとするため、今日はガラクタが一気に増えた。
それに、心無い言葉ばかり聞かされて、表には出さなかったが精神的にも疲れた。
あとで妹子に癒してもらおう。なんなら肌で癒してくれてもいいんだぞ。
よこしまな考えを浮かべつつ歩いているといつの間にか玄関前まで来ていた。
戸を叩くと中から余所行きの声色で返事が返ってくる。
続いて足音が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。ふわりと暖気が舞いこんできた。
「あっ、太子。こんばんは。いらっしゃいませ。」
妹子は笑顔で太子を迎えた。
もはや珍しいなんてものじゃない。天変地異でも起こるのだろうか。
それに快い歓迎の言葉なんて今まで一度も聞いたことがない。
何か策があるのだろうかと、落とし穴でもないかと辺りを見回し警戒していると、独特の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
思わずクンと鼻を鳴らす。
「カレーだ!!」
「おや、よくわかりましたね。」
「当たり前だろ私の嗅覚をなめるな!」
ぱあっと目を輝かせながら太子は適当に靴を脱ぎ、廊下を駆けていった。
背後で妹子が文句を言いながら靴を並べる。
勢いでそのまま居間へと入ると、太子は途端に立ち止まり、目を瞠った。
そこには壁一面、色とりどりの折り紙で作った輪を繋げた鎖で飾られていた。
あとからゆっくりと歩いてきた妹子に、驚きを隠さず問いかける。
「え・・・なにこれ。」
「誕生会ですよ。」
「え?」
「今日アンタの誕生日でしょう?」
妹子の意図していることがわからず、そのまま固まっていると彼は少し照れくさそうに視線を下におろした。
「アンタ、普通の誕生会とかやったことないだろうと思って。」
「え、これが普通の誕生会なの!?」
「ええ、まあ。・・・児童の。」
「子どものかよズコーッ!」
ベタな漫画ばりの下手なツッコミを入れると、うっとおしそうに妹子の眉間に皺が寄った。
「ともかく!・・・まあ、いいでしょう?」
「うん、ありがとな!」
カレー持ってきます、と妹子は照れ隠しのようにふいっと踵を返した。
太子は寒さを思い出したかのようにこたつに潜り込み、満足げに頬を緩ませる。
こたつのぬくもりに対してだけではなく、妹子の気遣いが嬉しくてついぞ微笑んでしまったのだ。
恐らく妹子は自分のためを思って子どもらしい飾りつけをしてくれたのだろう。
きっと朝廷では堅苦しいものしか開かれないから、せめて本当に誕生を祝う会を自分が開こうと。
太子は不器用ながらもその心遣いがとても嬉しかった。
(だってそれって・・・愛してくれてる、ってことでしょ?)
愛、だなんて似合わぬ言葉を噛み締めるとふふっとまたもや笑みが零れた。
気持ちを抑えるために口許をこたつ布団で覆う。
その時、良い香りと共に軽い足音が聞こえてきた。
「太子ー、カレー持ってきましたよー。あれ、寝ちゃったんですか?」
「寝とらんわい!」
「あ、起きてた。」
「カレーを目の前にしてこの私が寝られるか!」
「この前寝てましたよね・・・。」
そうだっけ、と思い返すとそういえば寝ていたような気がする。
あの日はお気に入りのワンちゃんと一日中野原を駆け巡り、妹子の家へ押しかけるなりなんなり疲れが出て眠ってしまったんだった。
しかしそれはそれ、これはこれ、だ。
目の前にカレーが差し出されると、太子は喉を鳴らした。
ほかほかと立ちのぼる湯気が視覚的にも嗅覚的にも食欲をそそる。
「いただきまーす!」
「待ってください。」
勢いの良い食前の挨拶と共にスプーンを持ち、いざ食べようとしたところ、妹子が掌をこちらに向けてきて牽制された。
匂いで食欲をとことん刺激されてはいたが、おとなしく太子は手を止める。
「太子、あの・・・。お誕生日おめでとうございます。」
改まって言うような間柄じゃないせいか、きっと照れくさいのだろう。
けれど、うっすら頬を赤らめていても俯くことなく視線をちゃんと交えていた。
「・・・ありがとう!ところでケーキはないの?」
「そんなものありません。カレーが誕生日プレゼントです。」
「え~ケチ!まあカレー好きだからいいけど・・・。」
太子はわざと流れにそぐわないような、茶化したように明るく答えた。あまり固い空気は自分たちには似合わないからだ。
それをわかっていたかのように妹子も軽く受け流す。
それから改めて合掌し、二人はカレーを食べ始めた。
*
「・・・あ、じゃあさ、プレゼントは妹子!とか。」
どうしてもプレゼントが欲しいのか、まだその話をひきずっていた太子は咀嚼しながら口を開いた。
彼の頬には、どう食べたらそうなるのだろうというくらいの大量の米粒がくっついている。
汚い、と妹子は眉をひそめながら注意するが、それは耳に入っていないらしい。かまわずスプーンを口に運び込む。
妹子は呆れたようにため息をついた。
「はあ・・・。まあいいですけど・・・。」
「え、いいの!?」
「ていうか最初からそのつもりでしたし・・・。」
「え、何か言った?」
「いえ、なんでも。」
ごちそうさま、と満面の笑みを浮かべる太子につられて妹子も頬を緩めた。
また、彼の口周りを拭きながら、この人にはつくづく敵わないな、と思うのであった。
************************
*☆*:;;;:*☆*:;;;:あとがき*☆*:;;;:*☆*:;;;:
相変わらずスランプ!!
遅れて太子誕生日小説です。あまり行事ごとやらない(?)けど何か小説書きたくなったのでちょうどいいなあと。
太子誕生日おめでとう!!
何気にさらっと大胆発言を残していった妹子さん。
ではでは、いつもありがとうございます(*^ー^)ノ
降りましたね。
こんにちは~。
昨日は一日中雪がしんしんと降り積もり・・・しかも昨日に限って病院だったりと本当、タイミング悪すぎる・・・。
一日中降ってたから当たり前だけど行きより帰りのときのほうが雪の量やばかった。
行きも急いでたから結構ブーツに雪入ったけど帰りはもっと深くて・・・。歩けるのかよここって感じ。歩いたけど。
まあ帰りは急ぐ必要なかったのであまり入らずにすんだんだけどね~。
しかし雪かき面倒くさくてしてないや。まあいっか!!
ではでは(*^ー^)ノ
こんにちは~。
昨日は一日中雪がしんしんと降り積もり・・・しかも昨日に限って病院だったりと本当、タイミング悪すぎる・・・。
一日中降ってたから当たり前だけど行きより帰りのときのほうが雪の量やばかった。
行きも急いでたから結構ブーツに雪入ったけど帰りはもっと深くて・・・。歩けるのかよここって感じ。歩いたけど。
まあ帰りは急ぐ必要なかったのであまり入らずにすんだんだけどね~。
しかし雪かき面倒くさくてしてないや。まあいっか!!
ではでは(*^ー^)ノ