※GL・百合の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また、蛇香(香蛇、蛇香蛇)が嫌いな方もです。

まさか自分が百合を書くときがくるとは思いもしませんでした。↑の注意書きも初めてです。何か新鮮でドキドキテンションMAXです。意味がわかりませんねはい。

※お香姐さんが予め同性愛者(レズビアン)設定です。幼少期捏造回想もあります。また蛇は擬人化しておりません。苦手な方は申し訳ありませんが閲覧をご遠慮願います。

もう書かないだろうということで書きたいことすべて詰め込んだら長くなりましたので覚悟をば。最初はお香×モブ(♀)な感じになっております。蛇香といってもあんまそんな要素ないけどね・・・。
シリアス気味で、お香姐さんがちょっと(?)捻くれていますので、これもご注意を。

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「こんなのおかしいってわかってます・・・でも、貴女のことが好きなんです。お香様。」

相手は頬を染め、俯きがちに告白する。
私より背の低い彼女に目線を合わせると自然と見下ろす形になる。
その小さな身を震わせ、恐怖と緊張に耐えるように胸元で拳を握っているあたり、それは本気なのだろう。

またか、と、正直私は思った。

この、女の多い衆合地獄で、こういうことはたまにある。
いわばここはほぼ女子校のようなものだ。その、女だらけの環境に長らくいれば、感覚が麻痺してしまうことは仕方ないことだろう。
私自身、長らく勤めていて今まで何度もこのような告白を受けてきた。
今年に入ってからは2度、いや、3度目だ。今年は多いほうかもしれない。

こうなったらどうするか。私はいつもと同じ返しをするだけである。

「お気持ちは嬉しいんだけど、ごめんなさいね。貴女のそれはきっと、擬似恋愛よ。殿方がいる職場へ移れば、自然と私のことなんか何とも思わなくなるわ。」

肩まで伸びた綺麗な髪に、指で梳きながら優しく諭す。
内容が少しキツめなので、そういった仕草や柔らかい声色で相手を包み込むようにしてカバーしながら。

しかしやはりこれを言われると、たいていの娘はその恥ずかしげに俯いていた顔を上げ、眉根を寄せる。
まるで「違う」と言うように、物言いたげな視線を送ってくる。けれど私の顔を確認した途端、唇を噛み締めてぐっと言葉を飲み込むのだ。
相手を黙らせ、諦めさせるほどの表情とは、単なる微笑みである。
目尻を少し細め、姉のような、母のような暖かな色を宿し、微笑を浮かべるのだ。

例に漏れず今回もそうだった。
否定の台詞を吐きかけながら勢いよく顔を上げ、けれども私の顔を見るなり言葉に詰まって暫しの沈黙。
何か言いたげに潤ませている瞳を見守り続けるのは、毎度のことながら胸が痛む。

「・・・わかり、ました。ごめんなさい・・・聞いてくださって、ありがとうございます。」

普通ならここで、いいのよ、とでも言って、おとなしく走り去らせてあげるのが優しさなのだろう。
けれども私はまだ、髪を梳く手を離さない。

「ありがとうね。私のことを好きになってくれて。」

そう、慈愛に満ちた笑みを浮かべながら囁き、髪を梳いていた手を頬へと移動させる。
彼女の赤い頬へ触れた瞬間、思いもよらない行為に驚いたのだろう、ピクリと身体が揺れる。
それから彼女の頬は再び紅を差し、大きく見開いた瞳を揺らがせ、

「っ・・・、それでは、失礼します・・・っ!」

ここで再び俯いて、走り去っていく。

全ては私の思惑通りだった。
今回も相手はまんまと私の罠に嵌ってくれた。



「姐さん、何でいつもああなの。」

例の彼女の告白から数時間後、一人で残業していた部屋に凛とした声が響いた。

「ああ、って何のことかしら?」

私はいつも通り、筆を動かしながら答える。
机に向かっていても会話には問題ないし、万一聞こえづらかったらあちらから歩み、いや、擦り寄ってくれる。
帯の蛇が視界の隅に映ったことを確認し、彼女が顔のすぐ横に来ていることがわかった。

「とぼけても無駄よ。告白のことよ。何でいつもああも、中途半端に優しくするのよ。辛いだけだってわかってるくせに。」
「あら、知ってたの?」

蛇の鋭い言葉に思わず書面から顔を上げ、そちらを向いてにこりと笑みを浮かべる。
瞼の間から見えた彼女は今日も美しい。

「どれだけ一緒にいると思っているの。何度もあの場に居合わせているのだし。」
「まあ、そうね。貴女の鋭い観察眼を持ってして気づかないほうが可笑しいわよね。」

彼女の言う通り、私はいつも最後に毒を撒く。
フラれるなら冷たく、きっぱりとフラれたいだろうものを、その心理をわかっていながら相手の一部を檻で閉じ込める。
安心させるためだと、無垢ゆえの密接だと思われる行為は全て相手の感情を理解している上でやっていること。
柔らかな声音で囁く言葉の奥深いところには悪魔のように冷酷で甘美なる真意が根を張っている。
そしてトドメにその小さな胸に、一本の毒針を刺す。細くて鋭利で、どんな針よりも殺傷能力があるものだ。

これでその娘(こ)は、私への恋慕、という蔓に一生心を縛られる。
一生、は長い鬼の生涯を考えると言い過ぎかもしれない。けれども、新しい相手が見つかろうが、男と結婚しようが、常に心の一部にそれは寄生している。
別な人と何かあっても、一瞬、私のことを思い出さずにはいられないのだ。

「何故そうやって、相手の心を弄んでしまうの?」
「弄ぶなんて、やだ、そんな酷いことしてないわよ。」

ただ、尾を掴んで逃がさないだけ。



皆、そうだ。
思わせぶりなことを吐いては、私を惑わす。

「お香ちゃん、背が高くてかっこいいね。こうして私と並んで見ると、お似合いじゃない?ほら。」

人懐っこい笑顔を振りまいて、私の隣に並ぶ。その際にふわりと香る独特の匂いに私が胸を逸らせていることなど知らずに。
最初(ハナ)からそれに意味はないのだと言ってくれればいいのに。

時を経て、これは同じ好意を抱いていると期待しつつ、私が意を決して好意を口にすれば、

「私もお香ちゃんのこと大好き!他の誰よりも!格好良いし、可愛いし、本当、
自慢のお友達だよ!」

まるで深い谷底に陥れられたようだった。
それを何回か繰り返して、更に周囲から入ってくる情報で、私はやっと気づいたのだ。私が抱く想いは他の娘とは違うものなのだと。
たとえ同じ想いを抱いたとしても時が経てばそれは「若気の至り」や「一時の過ち」で済まされるものだと。

(お嫁さんになりたい、なんて本当、笑っちゃうわ。)

格好良い、お似合い、大好き、愛してる・・・。
女の子の口から出る言葉は、空気よりも軽い。だからすぐに勘違いしてしまいそうになる。

(レズビアンを、からかわないで頂戴。)

想うだけ想って、報われることがないのなら、ひとりでも多くの娘(むすめ)を道連れにしよう。



「姐さん?どうしたの?」

蛇の声でハッと意識が引き戻される。どうやら少し感傷的になりすぎたらしい。自分の世界へと浸ってしまった。

「・・・みんなうそつき。」

まだ夢から醒めきっていないせいか、ついぽつりと本音を漏らす。
脈絡のない、確実に意味不明な言葉に通常なら首を傾げるだろう。しかし、私のことをよくわかってくれているこの蛇たちは、哀れむように、また慈しむように目を細めた。

「・・・そうね。」

そう言うと、慰めるかのように私の頬に擦り寄った。人とは違う肌の感触が何とも気持ち良い。
それから、でも、と言葉を続けた。

「姐さんには、私たちがいればいいでしょう?」

蛇の表情というのは、普通の人からしたらあまり変わりないように見えるだろう。
しかし私は、今、この蛇のつぶらな瞳の奥には妖しい光が宿り、妖艶に微笑んでいる気がした。
だから私も同じく心の底からの笑みを浮かべる。

「ええ、そうね。」

そして視線が絡み合ったのを合図に、私たちは軽く唇を合わせた。



(この子たち以外、誰からも愛されない、愛したい対象がいても、その人からの愛は返ってこない。)

現に先程告白してきた娘(こ)も、数日、数年すればほとぼりから醒めることだろう。
私を好きになった娘の末路を見ると、いつもそうだ。あれは一時の夢だったのだと言わんばかりに男とくっついて歩く。
それで私は告白の際、いつも胸を痛める。それは相手を思いやってではなく、「どうせその涙も嘘に変わる」という、残酷な真実に対して。
結局は、そうなのだ。私への想いなど、憧憬と羨望で出来たただの偽物でしかないのだ。
そんな不吉な鏡はすぐに割れて、砕け散る。

「何をそんなに笑っているの?」
「んーん、なんでもないわ。」

もう、たった一人のかけがえのない人を探すなど、夢を見ることはとうに止めた。
それでも誰かの心に留めておきたい欲は納まらなくて。
だから私は、寄ってきた哀れで不憫な娘(むすめ)を、誰一人として逃がさない。

(絶対に、逃がさないんだから。)

愚かなあの娘(こ)もこれから頬を触れられる度私のことを思い出すのだ。他のことは年月を経ると忘れても、私のことだけは足枷のように、心から離れない、放すことができない。
ふと私はこの緩やかで効力の強い毒は、もはや呪いなのではないか、と思った。

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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆あとがき*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
ブログには載せようかどうか迷ったんですけどアメーバのブログ画面で書いてるんだからせっかくなので載せました・・・。前置き長くなってすみませんでした。
某お絵かきサイトで「お香 百合」で調べて一件しか出なくて泣きました。でもその一件のおかげで帯の蛇×お香姐さんという新たな扉を開きました。ありがとうございます。
お香姐さんの百合は見たいんだけど思えば姐さんと絡んでる女の人、いなくね・・・?名前ある人ではいなくね?(私はできれば絡みある人とくっつけたい派)

題名、本当は「レズビアンをからかうな」というものすごい直接的なのにしたかったのですが、あまりにも直接的なので苦手な方もいらっしゃるかと思いここでは控えさせていただきました。そう、この真実は今ここを読んでいるアナタだけが知っているの・・・フフフ・・・(`・ω・´)(どうでもいい)

個人的にお香姐さんは女性に対してはフェムタチ希望。蛇の時は蛇香蛇希望。なんかどっちつかず。実はプラトニックなんだけど周りから見ると大人でどこか妖しい感じの関係な気がする。

一応解説。お香姐さんは元々同性愛者設定で、衆合地獄の女性にモテます。でもその人たちは元々異性愛者。だからそのうち気が変わるんだろてめえ、という具合に姐さんは最初から諦めています。本当は添い遂げる大切な人が欲しいのに、でも、できるわけないだろ、と。だから全てを拒否している状態。でも自分だけこんなに悩むの悔しいし寂しいから、自分との思い出から一生離れられないような、最後に優しくして強く印象づけて、苦しませるという。だからお香さんに想いを寄せてきた女の子たちは皆度々、最後に向けられたどこか妖艶な笑顔を思い出して辛くなるのです。
実は深い闇を抱えているお香姐さんを書きたかっただけ。

長々と読んでくださりありがとうございました本当・・・詰め込みすぎて大変なことになっていたかと思います。
ではでは(*^ー^)ノ
※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。

某診断サイトで出たお題で、面白そうだなあと思ったので挑戦してみました。
面白そうだなあ、の意味は、ギャグ方向に、です。
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夜。
辺りはすっかり暗くなり、時刻もいいところ。
殆どの人は帰路についたのだろう。大通りから外れたところなので昼間もさほど多いとは言えないが、今は本当に自分ひとりしかいない。
しかし生娘でもあるまいし、腕っ節にも自信はあるため夜道が怖いなどということはなかった。
だが今、この背筋に走っている寒気は何なのだろう。何かねっとりとした、あまり良くは思わないものが背後を襲っている気がする。
突然誰かに直接触れられたほうがまだいいとすら思えるくらいの気味の悪さだ。けれど先程言ったように、今ここには自分ひとりしかいないはずなのだ。
足音は聞こえないし、念のため振り返ってみてもやはり誰もいない。

こんな状態に陥ったのは実は今日は初めてではない。ここ数日、このような調子なのだ。

妹子は背後に感じる違和を、これまた後ろで皎々と輝く月明かりのせいにして、そのまま着々と家路についた。

***

朝。
まだ太陽の照りが優しい時間帯に、ゴミを出すため一時的に家を出る。
欠伸をしながら着いたゴミ置き場で、その時、昨夜と同じく視線を感じた。
これも今に始まったことではない。
周りを見てもやはり犯人らしき人物は見当たらないが、流石に辟易した妹子は、彼の人に対して言葉を叫んだ。

***

「・・・で、何でストーカーしてるんですか?」

妹子は冷めた眼差しを相手の目に送る。
相手はこちらを見つめ返してこない。罪悪感からというのもあるのだろうが、瞼の片方は腫れ、片方は伸びてしまって視界が狭まっているからだろう。

「ストーカーじゃないよ・・・。」

彼は、太子は同じく腫れて血が出ている唇を弱弱しく震わせながら口を開いた。
満身創痍で何とも痛々しい姿だが、それを施した妹子は、いつもと反対に見える彼の顔が酷く不細工だな、と淡白な感想を心の内で述べた。

今朝、流石に我慢ならなくなった妹子は、ゴミ捨て場にて彼の名を呼んだ。すると思ったとおり、のこのことどこからともなく太子が登場したのだ。
そう、妹子は元々彼に目星をつけていたのだ。
たまに漂うカレー臭、彼が失態を犯した時に視界の隅に移った青いジャージ、など、犯人としての証拠が十分に残っていたのである。

「立派なストーカーじゃないですか。夜道にはつけて歩いて、朝もたかがゴミ出しの様子を見えない角度から窺って。警察に突き出されたいんですか?」
「だからストーカーじゃないよ!嫌だよ!だって好きな子のことは何でも知りたいだろ!」

好きな子。
その言葉に反応して目を瞠る。
ただし、心に響いて感動したからではなく、ぞわぞわと悪寒が走るほど気持ちが悪かったからだ。

「太子、やっぱりそれ、ストーカーで訴えていいですか?」

眉間を狭め、怪訝そうに横目で見やり、立った鳥肌を治めるように二の腕を擦る仕草をとる。
すると慌てたように彼の身体が、縄でぐるぐる巻きになっている身体がぴょんぴょんと跳ねた。

「そんな目ぇせんといて!!てか私も悪かったよ!!でもね妹子!!これは酷くない!?フルボッコにした後の逆さ吊りは酷くない!?仮にも私たち、恋人同士だよね!?」
「・・・『元』恋人ともなれば、より有罪判決が勝ち取りやすくなりそうですね。さて慰謝料何百万踏んだくろうか・・・。」
「真剣に考えるのやめて!!お願いだからこっち見て喋ってひとりの世界に入らないで!!」

私も、ではなく、私が、だろうと思ったがそこを指摘するのはやめた。
いちいち揚げ足を取るのは疲れるし、逆さ吊りにしたことを突かれそうだったからだ。確かにそれはやりすぎたかもしれないし、自分にも非はあるのかもしれないが、そもそもの元凶はお前だ、とまだ言われてもいない事に反論を整えておく。

自由の利かない身体を必死に跳ねさせて何か訴えているようだが、妙に粋の悪い魚みたいで面白いなあ、と妹子はぼんやりと見つめていた。尚、太子の言っている言葉は一切耳に入ってこない。

まあ、警察に訴えて裁判を起こすというのは冗談だ。一瞬金に目が眩んで本気で考えてしまったが、すぐに冷静な思考へと引き返した。
身体のあちらこちらに直に制裁を加え、己の手で逆さ吊りにまでしたのだからこれ以上追い討ちをかけるのは流石に可哀想だし、本人も十分痛い目を見て反省したことだろう。
つまり、最初(ハナ)から訴える気も何もなかったのだ。逆さ吊りにした時点でここ最近のストレスも解消されたし、十分満足した。

それに先程太子が言ったように、自分たちは一応そういう間柄なのだ。
妹子としても、時折苛立つことはあるが、それでも相手のことは好きだし、一緒にいたいのが本音だ。

「まあ、警察につきだすのも、裁判で五百万円ほど踏んだくろうと考えていたのも冗談です。」
「ほんとに冗談なのそれ・・・?」
「太子、これに懲りて気味悪い視線を遠くから送ったり、あとをつけてくるような真似はやめてくださいね。
そもそも・・・恋仲、なのですから、一緒にいたいなら、一緒にいられるでしょう。」

ふと、視界で暴れまわっていた身体が止まった。
何を思っているのか、頬がほんのりと赤く染まっている。
やはり自分の口から出る、恋人を指す言葉は珍しいのだろうか。
さらりと言ったつもりだったが、いや、多少の躊躇いはあったのだが意識しないようにしていた。
それが彼のせいで全て台無しだ。装った平静という膜は破れ、妙に熱いものが身体の中を駆け巡る。
心なしか、顔が、耳が熱いような気がした。
それから、太子はなにやら満足することでも確認したのか、口許を緩めていた。しかしまた鉄拳が飛んでくるのが怖いのだろうか。それはいつもより控えめだった。

(本当にわかっているのだろうか。わかっていない気がする。)

ならば、わかるまでわからせてやらないと。
とりあえず紐を解いて地に足をつけたら、その、血が出ている腫れた唇を治してあげようか。

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☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*あとがき☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
最後こんな終わり方でいいのかなっていう、もうちょっと何か追加すればよかったんだろうけどまあいいや!!
妹子はちゃんと消毒液で手当てしてやったのでしょうか。それとも、己の唾液で・・・。まあご想像にお任せします。

これを一緒に話して盛り上がってた元アメーバ住人のしーさんもとても面白くて素敵な絵を描いてくださりました。クッソ面白かった。逆さ吊りにされた太子とそれを冷めた目で見る妹子・・・。

ではでは(*^ー^)ノいつもありがとうございます。