1月中に書けた。よかった。そして書きながら、これほとんどハープと関係ないんじゃないかという気がしてきましたが。
十字屋様のところにあったチラシか何かで見つけて、銀座は三越のラデュレ様で開催されるという田中淳子先生の演奏を聴きに行ってまいりました。
クリスマスイヴに。
この日だからこそのイベントだったわけですが、やっぱりどうしてこの日なのかと思わずにはいられない。
田中先生はそれはそれは典雅な方でおられます。
それで1時間前くらいについてしまって、ちょっと早すぎたかな~?とか思ってたら入店待ちの列は折り返して階段まで続いました。
並び始めたときに私が見た光景。
たまたまお店の前でスタンバイ前の田中先生にご挨拶できて、本当によかった…
お客様のほとんどは女性のグループの方たちでした。意外にカップルは極少数。待ち時間が長すぎてカップルは待てないのです。
そしてそのはざまに並ぶ30代男性客1名。
店内の待合までで40分。
そしてトータル50分、お通し頂いた席は銀座の交差点を見下ろす3席の真ん中!店内でもおそらく屈指の良い席でした!
でもハープからは遠かったです。(壁の向こうに柱がちらっと見えてるの、お分かりになりますでしょうか?)
そして3時を告げる和光の鐘の音とともにはじまるコンサート。
途中夕日が射してとても綺麗でした。
素敵な調度品に囲まれた店内に、本当に典雅な音色が響いてました。
ハープの王道、アッセルマンの泉からフランスものの月の光など、時期にあわせてクリスマスソング、昨年話題になりました美女と野獣など、そしてマリーアントワネット作曲のC'est mon amiまで!
ラデュレ様はそもそもパリのお店で、ケーキや紅茶のフレーバーにマリーアントワネットをモチーフにしたものをお出しになっているんですな。
マリーアントワネットの映画でお菓子提供してたりもしますし。
そしてこれも有名なところでは有名なお話しですが、マリーアントワネットはハープを愛奏されていたのです。
マリーアントワネットが愛奏していたのは現行のダブルアクションペダルハープの前身にあたるシングルアクションペダルハープといいまして、
これは十字屋様の楽器。
今のハープはペダルが2段に踏み込めて♭→♮→♯と変えられるのが1段分しか踏み込めず、対応できる調に限界がありました。
レバーハープと同じ状態ですね。
この楽器のアクションは現在のようにディスクが回るのではなく、写真の楽器のようにピンが弦を押す仕様なってます。(ディスクが回る仕様の楽器もある)違いはほかにも色々あって、
裏側に響孔がなくて、響板に小さな響孔があいてたり、
こっちは以前にもちょっと書きました摩寿意英子先生の楽器。
となりのダブルアクションの楽器、今はなくなったウーリッツァーというメーカーのもので、現行のハープよりちょっと小さ目なのですが、それでもシングルアクションはもう一回り小さくて華奢なのがお分かりになるかと思います。
音色はチェンバロっぽいというか繊細というか。
1811年にエラールがダブルアクションペダルハープを完成させてサクサク世代交代がすすむかと思ったら結構しぶとく生き残ったりする。
マリーアントワネットの楽器を作成したのがナーデルマンという人物なのですが、パリ音楽院のハープの初代教授がこの人の息子だったり…(このあたり、高田ハープサロン様のホームページに詳しい。)優れた演奏家で教師、作曲も行ったアンリエット・ルニエもシングルアクションの音の方が好みだったなんて話もあります。
それで王妃様がハープを弾くので貴族様のご息女様方もハープを習うのが流行り、そのためにハープ教師もパリに集合して、ハープの中心地となっていったんですな。
なお、この頃のハープ教師はだいたい男性だったらしいんですが、どこへ行ってしまったのか…
ということでお紅茶もお菓子もマリーアントワネットセレクションみたいなセットにしました。そしたら間違ってケーキも届いて、せっかくだから追加でオーダーしていただくことに。
マカロンに、
軽食とチョコレート。フォアグラだったりキャビアだったり、チョコレートもローズとカフェでどれも風味が高かったです。
ビュッシュ・マリー・アントワネット ローズ・フランボワーズなるケーキ。薔薇の香り。
紅茶は爽やかなフレーバー。テーブルに和光の時計が映りこんで、とても素敵でした。
楽器は十字屋様からミネルヴァ。音色といい姿といい、こういう場所にはピッタリでした。
サロンの楽器であったことを思い出させてくれます。
今回はラデュレ様から十字屋様へのご依頼だったそうです。
店内に入ったのは初めてでしたが、綺麗で、スタッフの方々のご対応も素晴らしくて、本当に贅沢な時間を過ごすことができました。