次の日の古典の時間になった。
「須磨・明石・澪標は源氏の蹉跌と復活のドラマです。源氏は朧月夜との問題などの責任を取るため、須磨にくだり、自然現象としての嵐の試練を受け、明石の御方と親しくなりますが、京都の政局が源氏を必要とするように変わり、源氏は帰京します。この時の子が後に明石の中宮となります。」
「恋わびてなく音にまがう浦波は思うかたより風や吹くらん」(恋しいと泣いているように波の音が聞こえてくるのは、私を慕っている人の住む都の方からの風が吹いてくるからであろうか。)歌が逆境に喘いでいる時にもできるというのは、何という美徳だろうと明雄は思った。自分を励まし、仲間を励まし、友を励ます。