読書日記2025-73

翳りゆく午後

伊岡瞬(著)

[集英社2024年12月発行]


翳りゆく午後 [ 伊岡 瞬 ]

 

 あらすじ

「人を轢いたかもしれない」 厳格な父親からの一本の電話。それが悪夢の始まりだった――
80歳目前の武は、教職退任後、市民講座で教える地元の名士。 父の武と同じ教職に就く敏明は、妻の香苗と反抗期の息子・幹人との平凡な生活を送っていた。 このところ父の愛車に傷が増え、危険運転が目に余るようになってきたため、敏明は免許返納を勧めるが武は固く拒絶する。 さらに、市民講座の生徒である西尾千代子と武との親密な関係を怪しむ噂が広がり、敏明は悩みを深めていた。 そんなある日、近隣で悪質な轢き逃げ事件が発生。


感想

辛辣な題材が多い伊岡作品。

今回は高齢親の認知症と免許返納問題…

これは今や社会問題ですね!


こういう問題は誰にでも起こり得るしリアル感ありあり

プライドが高い人に認めさせるのは並大抵ではない。

しかし自分自身の生活にも関わる事だし、先送りする訳にいかないのが、これまたややこしい…


本書の中では、その認知症本人も現実の恐怖と闘いつつ戸惑い、また足掻いているのが多々あるけど、軽々に"分かる"とは言えない。


我が家にも90歳を過ぎた老親が認知症予備軍。

忘れる、忘れる!1時間前のこともね…

それをとにかくメモる。

そこは本書の中でも一緒ですね。


認知症って、一気に悪くなる訳じゃないのが厄介で…

ある時はごく普通、ある時はどこか違う世界を飛んでる?ヤバいっすガーン


とにかく免許は返納年齢を作るべきだ!

と常々思っております。


しかし登場人物たち、誰も彼も保身!?

ミステリー部分があっさりと回収されたのがちょっと物足りなかったかな…。


ありがとうございましたm(_ _)m