読書日記2025-39
さいわい住むと人のいう
菰野江名(著)
[ポプラ社2024年9月発行]
![さいわい住むと人のいう (一般書 467) [ 菰野 江名 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/2963/9784591182963_1_168.jpg)
あらすじ
ある日、豪邸に住む高齢の姉妹が二人とも亡くなった。 老姉妹は、なぜこんな豪邸に二人だけで住んでいたのか―?
地域福祉課に異動になった青年・青葉が紹介されたのは、大きな屋敷に住む八〇歳の老女・香坂桐子だった。 桐子は元教師で顔が広く、教育から身を引いてからも町の人から頼りにされていた。妹の百合子と二人だけで暮らしているという――。
物語は二〇二四年から二〇年ごとに遡り、姉妹の人生が少しずつ紐解かれていく。 戦争孤児で親戚をたらいまわしにされてきた彼女たちは、いつか自分たちだけの居場所を手に入れて、二人で幸せになろうと誓った。 しかし、ある選択を迫られて…
二人の女性の人生を壮大なスケールで描いた感動の物語。
感想
姉妹の物語を時を遡り描く6篇の連作短篇
姉妹が晩年に暮らす豪邸の秘密を、戦後から現在まで彼女たちの過去とともに紐解いていく。
そこには女性の生きづらさの変遷がリアルに描かれていた…。
2024年から20年ごとに遡っていく手法は、最近も他の小説であったな!?
プロローグの意味が徐々に解明されていく様が哀しい謎解きになっていた…
戦争孤児の2人の人生、精一杯生きたと称賛を送りたい!
そんな時代に桐子は頑張ったけど、もう少し柔軟に生きられたらまた違う幸せがあったかもね…。
『男女均等雇用法』がまだ制定されていない時代。女性というだけで雇用の機会を奪われてはならないという法律。
それを夢見ているような時代に生きた姉妹
《ただみんな幸せになりたいだけ》
『山のあなたの空遠く、『幸(さいわい)』住むと人のいふ》山の向こう、遠い空のかなたまで行けば幸福があるのだと、誰かが言っていた



