読書日記2025-20

娘が巣立つ朝

伊吹有喜(著)

[文藝春秋2024年5月発行]


娘が巣立つ朝 [ 伊吹 有喜 ]

 

あらすじ

高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。 優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が嚙み合わない。 真奈は優吾君とうまくやっていけるのか?  両親の胸にきざす一抹の不安。 そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。 もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。 娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。 父母そして娘。 三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……
つむがれていく家族の物語。



感想

タイトルと表紙から想像した話よりは辛辣でしたね!?

家柄や価値観の違い、特に金銭的な違いは決定的かもしれないな…


娘の話よりも夫婦の話がメインですね。

娘が巣立った後のふたりのそれぞれの人生…

というよりも、人生の後半になった50代は、これからの人生への不安とか悲観さそのものなのかもしれない。


夫の気持ちも分かるし、もちろん妻の気持ちも分かる。 「空気みたいな存在」って決して褒め言葉ではないのね…


私も通ってきた道…

私はそれが40代で自分探しの日々を送っていたかも!? 60代の今もそれは続いているのかもしれないけど…今は自分の老いを受け入れるのに精一杯かもなネガティブ


文中で、いつも不機嫌な夫に疲れたという妻に助言した言葉

《赤ちゃんとか子どもを見ると人って自然に笑顔になっちゃう…人は若い異性を見ると自然にデレッと甘くなるのよ。でも年寄りにはその逆。ババアやジジイには自然に渋い顔になる。私たち悲しいけど、人から不機嫌な顔をされがちな年になったの。慣れなくっちゃ》


"慣れなくっちゃ"なのか?爆笑


〈不機嫌は立派な暴力、本人が自覚していない分、いつまでも続く〉も名言だ!


後年になるほど、生きる張り合いは大事なんだよな〜とつくづく思える話だったけど、何故かちょっと苦労して読了でした


ありがとうございましたm(_ _)m