読書日記2025-20
娘が巣立つ朝
伊吹有喜(著)
[文藝春秋2024年5月発行]
![娘が巣立つ朝 [ 伊吹 有喜 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/8396/9784163918396_1_2.jpg)
あらすじ
高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。 優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が嚙み合わない。 真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。 そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。 もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。 娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。 父母そして娘。 三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……
つむがれていく家族の物語。
感想
タイトルと表紙から想像した話よりは辛辣でしたね!?
家柄や価値観の違い、特に金銭的な違いは決定的かもしれないな…
娘の話よりも夫婦の話がメインですね。
娘が巣立った後のふたりのそれぞれの人生…
というよりも、人生の後半になった50代は、これからの人生への不安とか悲観さそのものなのかもしれない。
夫の気持ちも分かるし、もちろん妻の気持ちも分かる。 「空気みたいな存在」って決して褒め言葉ではないのね…
私も通ってきた道…
私はそれが40代で自分探しの日々を送っていたかも!? 60代の今もそれは続いているのかもしれないけど…今は自分の老いを受け入れるのに精一杯かもな
文中で、いつも不機嫌な夫に疲れたという妻に助言した言葉
《赤ちゃんとか子どもを見ると人って自然に笑顔になっちゃう…人は若い異性を見ると自然にデレッと甘くなるのよ。でも年寄りにはその逆。ババアやジジイには自然に渋い顔になる。私たち悲しいけど、人から不機嫌な顔をされがちな年になったの。慣れなくっちゃ》
"慣れなくっちゃ"なのか?
〈不機嫌は立派な暴力、本人が自覚していない分、いつまでも続く〉も名言だ!
後年になるほど、生きる張り合いは大事なんだよな〜とつくづく思える話だったけど、何故かちょっと苦労して読了でした
ありがとうございましたm(_ _)m