読書日記2024-145
対決
月村了衛(著)
[光文社2024年4月発行]
あらすじ
新聞記者 vs. 医大理事。 一歩もひかぬ、二人の女。 思いは同じ――後に続く女性のために。 だからこそ、互いの人生を懸けて激突する。 ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている――衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の檜葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。 男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。 それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は……。
話題作、問題作を絶えず放つ著者が挑む、社会にはびこる差別の根源。
感想
医学部不正入試問題をテーマに、女性への差別問題を通して社会問題をあぶり出していく作品。
医学部受験女子の採点問題、まだ記憶に新しい現実に起きた事件を題材にし、この題材から男性の著者がここまで女性の立場を前面に表したのに感心した!
二人の女性がそれぞれの立場から対決! 対決というか頭脳合戦?!
職業上の責任と使命感、そしてそれぞれが女性ゆえに経験してきた理不尽やそれに対する怒りを上手く絡めた辺りは、やはり月村作品ですね〜
本文より
《人間とは差別する生き物だ。男女差別。人種差別。その他ありとあらゆる種類の差別。気づかぬうちに、また無自覚的に差別している》
この前後の話を読むと、自分も無関係ではないなと思えてくる…
"ふざけるな"
この言葉を主人公が繰り返す場面があり、世の女性の叫びと高揚した!
職種や世代によってはまだまだ男尊女卑はあるとは思う。
医者という過酷な現場に男性が必要云々話しは、聞くと"なるほど"と思える部分もある…
が、それが不正の理由にはならないよな!
ありがとうございましたm(_ _)m