読書日記2024-58

神の(カムイ)の涙

馳星周(著)

[実業之日本社2017年9月発行]


神の涙 [ 馳星周 ]

 

  あらすじ

アイヌが暮らし、ヒグマが生きる、北海道の大自然を舞台に描く感涙の新家族小説!!

北海道・屈斜路湖。アイヌの木彫り作家・敬蔵と孫娘・悠の家に、尾崎雅比古と名乗る若い男が訪ねてきた。 男は弟子入りを懇願。 初めは煙たがられていたが、敬蔵から木彫りを教わり、山に入るようになる。 しかし、男には誰にも明かせない過去があった――。

自然を尊んで生きる敬蔵、アイヌから逃げ出したい悠、自らの原点を探す雅比古。 感涙の新家族小説。



  感想

馳星周作家生活20周年、実業之日本社創業120周年記念

それにふさわしい壮大なお話でした!409pの長編もあっという間でした


アイヌの話は他にも多々あるけど、ここまで奥深くそして素直に感動したのは初めてかも…涙なしでは読めない!こともなかったけどねてへぺろ

こういう世界観は好きです!


アイヌであることを誇りに思う祖父とアイヌであることを忘れたい孫娘。

その葛藤の裏には、和人には分からない歴史があるんですね…


アイヌの世界観=世界は神々のもので、人間はそこに住まわせてもらっているちっちゃな存在だ。


だから自然の神々に感謝して生かされていることを忘れてはいけない…

祖父の自然、動物への敬虔な気持ちに圧倒されました。


《動物は過去のことを悔やんだり、未来のことを恐れたりしないんだ。その時その時を真剣に全力で生きている。遊ぶときも全力だ。全力で走り回って全力で笑う》

《人間も大自然の一部なのだ。滝霧も紅葉も雪景色も満天の星も自分の一部だ。そこに目を向ければ、それに身を委ねれば、癒やされる。》


『人の罪を罰するのは神様の仕事。人にできるのは許すことだけ』


大自然の前では、人間の無力さをしみじみと感じされられると私も思います。


ありがとうございましたm(_ _)m