読書日記2024-54
受精卵ワールド
本山聖子(著)
[光文社2023年8月発行]
あらすじ
不妊治療クリニックで胚培養士として働く長谷川幸、32歳。 子供の頃から虫メガネにはまり、小さな世界、そこに息づく命に魅了されてきた。 受精卵と向き合い、命の誕生を願うこの仕事を天職だと思っているが、実は幸自身も出生に秘密を抱えていた。 4組に1組が不妊治療をし、14人に1人が体外受精で生まれる世界に揺蕩う、報われない挑戦、人生の選択、それぞれの幸せ。生殖医療にかかわる人間たちの葛藤と希望を描く書下ろし長編。
感想
本山聖子さんは4年ほど前に『おっぱいエール』を読み、メチャクチャ感動した作家さん。当時、同病4年目の私としてはtakakoのイチオシとした(^_-)-☆
久々に新刊を刊行されたと知り直ぐに予約、やっと巡ってきました!
待った甲斐がある内容で、これまた感動しました!!
タイトル通り受精卵のお話でした。
不妊治療を中心に幸の生い立ち、家族、友人、後輩、尊敬する医師、不妊治療を受ける様々な夫婦‥
奮闘する人たちにウルウル
10年引きこもりの兄の姿も苦しい…
結婚、妊娠、出産、それは当たり前のことではないと改めて思ったし、夫婦関係、子どもを持つということ、女性の生き方など多くことを考えさせられた。
不妊治療…知ってるつもりでいたが、想像以上に過酷だった…
これは経験者が読まれると納得されるのか?逆に辛いのか?
正直なところ私には分からないけど、決してマイナスにはならないと思います。私も2人目不妊だったので多少の気持ちは分かるつもりだけど…
幸がドクターに聞く
「不妊治療は神の領域だと思いますか」
『人間にできることはすべて人間の領域です。神の領域に足を踏み入れているわけでもない。人工授精も体外や顕微鏡もみんな人間の領域のできごとです。僕らはあくまでも人間にできることを人間としてやっているだけ。それだけです』
私も命って授かるもので作るものではない?という疑問はなくはなかったけど、この言葉でスッキリしました!
文中では、ある姑は子供ができないのは嫁のせい!息子に否があるなんて1ミリも思わない…
私の親世代ならばまだ分かるけど、いくら田舎の人だって私と同世代の人ならば無知過ぎませんか?!悲しすぎる…
この本もtakakoのイチオシ(^^)/
ありがとうございましたm(_ _)m