読書日記2023-237
貌なし
嶋中潤(著)
[光文社2015年9月発行]
✩✩✩✩
あらすじ
突然失踪した父。 娘は、父が殺人事件の法廷で被告に有利な証言をした事実を知る。 真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた彼の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。
渾身の書下ろし長編ミステリー!
感想
前回読んだ嶋中作品が良かったので、意味深なタイトルのこちらを手に取りました。
近年問題になっている『無国籍』
をテーマにしたミステリー。
《民法772条1項では「妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定」すること、同2項では「婚姻成立日から200日経過後又は婚姻解消日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定」するとしています》
近年は改訂されつつあり、色んな方法があるみたいだけど、この法律って明治時代に作られたもの?
諸事情により手続きが出来ないで無国籍になった子供、その犠牲となり大人になった人の言葉
『夢はない。特別なものはいらない。欲しいのは普通の生活』
最近観た映画《ガザ 素顔の日常》
その中で人々が言っていた言葉と同じ…。
この平和な日本に生れた日本人も同じとは悲しすぎる
〘全国には推定で1万人以上の無国籍者が存在しているというデータがある〙
情報が後出しぽい文体に少し戸惑ったけど、読んで良かった1冊でした!
ありがとうございましたm(_ _)m