読書日記2023-233
がらんどう
大谷朝子(著)
[集英社2023年2月発行]
✩✩✩

あらすじ
「ルームシェアっていうの、やらない? もっと広い部屋に住めるし、生活費も節約できるし、家事も分担できるよ」
「若い人たち同士ならわかるけど……本気なの?」
「四十過ぎた女二人が同居しちゃいけないって法律はない」
人生で一度も恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。 二人組アイドルグループの推し活で繋がった二人のコロナ禍での共同生活は、心地よく淡々と過ぎていくが――
恋愛、結婚、出産、家族……どんな型にもうまくはまれない、でも、特別じゃない。 《今》を生きるすべての人へ、さまざまな属性を越えて響く“わたしたち”の物語。
感想
初読みの作家さんかな?
意味深なタイトルにソソられたけど、ちょっと私の年代にはソソらなかったかな…
薄い本だけど、始終重苦しい空気が漂う感じで、芥川賞ぽい作品ね
母親の再婚、アイドルの結婚、ルームシェアをする女友達の不倫、マッチングアプリで出会った男性の正体…
未来を信じられるほど若くはなく、人生を諦めるほど老いていない40前後の独身女性ふたりがルームシェアをしながら生きる日常をシンプルに描いたお話でした。
結婚、出産の形が以前より変化したとはいえ、異性と結婚し子どもをもうけることが当然という風潮がある中で、その思いを捨てきれない平井。
そんな平井に菅沼が言う
「諦めないことが正解じゃないように、たぶん、諦めることも正解じゃないよ」
誰の心の中にも"がらんどう"はあるのでは?
ありがとうございましたm(_ _)m