読書日記2023-232

西洋菓子店プティ•フール

千早茜(著)

[文藝春秋2016年2月発行]

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あらすじ

女を昂奮させない菓子は菓子じゃない
スイーツは誰かの心を不意につかんで新しい場所へと羽ばたかせるスイッチ。下町の洋菓子店を舞台に繰り広げられる鮮烈な六つの物語。


感想

商店街の頑固じいちゃんが営む洋菓子屋が舞台。 その孫の職人気質のパティシエは弁護士の彼氏と婚約中。

その彼女に憧れる後輩男子。

そして、その彼に片恋するネイリスト。等など…

みんな、それぞれの秘密を抱えて生きている連作短編。


タイトルから甘い優しいお話かと思ったが、それぞれの胸のうちはその人しか分からない甘さも苦さもがあるもんだ…


読みながら何となく気になったのが、職人気質の孫がなぜ高校時代に好意を持った女子を忘れられないのか?

婚約者の彼とは違う感情をもて余す様子が不気味だった…


最後の最後、あぁーこれのための伏線だったのか?

じいちゃんの秘密が見え隠れした…


プティ•フール…「小さな火」

祖父に小さな火を心に灯してくれた相手、祖父の時代には認めさえされなかったであろう、その想いも抱えながら生きてきたからこそ、お菓子作りに真正面から挑んでいるのかな…と。


なかなか奥が深いお話でした!


ありがとうございましたm(_ _)m