読書日記2022-197
海の教場
吉川英梨(著)
[角川書店2022年7月発行]
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あらすじ
桃地政念(ももち・まさむね)は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。
霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。
ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」
感想
吉川作品の『海蝶2』を読んでからこちらをと思っていたが、思いがけず先に手元に届いちゃいました
でもでも、読めて良かった!
面白さももちろんあるけど、どんどん心に響く話で、何回も泣かされました。
ちょっと涙腺の弱い時期なので余計にかも…
教官と生徒、教官の愛する人の死生観、生と死…
何とかして愛する人を生きて欲しいと思うのは当たり前だけど、その愛する人からの言葉は強烈…
でも私は納得してしまった…
『生きる、ということを強要しないで』
『どんな方法を使っても生き抜くべきだというのは、健康な人の奢りだよ』
また、
恋愛に悩む生徒を巡視船に乗せた時の会話は、私達一般人は重く受け止めないといけないな!
『俺たち海上保安官の気持ちひとつで戦争なんて簡単に始まるんだ』
『戦争にならないから国民は知る機会がない。知る必要がないんだ』
『海蝶』とはまた違う海保の一面海猿だけが海保じゃないし、潜水士を支える後方支援、中でも食事を支える主計科 派手さはないけどこれも人命救助に繋がる大事な任務だと知り得ました!
ありがとうございましたm(_ _)m