読書日記2022-188
8050
林真理子(著)
[新潮社2021年4月発行]
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あらすじ
このままでは我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない――。
従順な妻と優秀な娘にめぐまれ、完璧な人生を送っているように見える歯科医の大澤正樹には秘密がある。 有名中学に合格し、医師を目指していたはずの長男の翔太が、七年間も部屋に引きこもったままなのだ。 夜中に家中を徘徊する黒い影。 次は、窓ガラスでなく自分が壊される――。
「引きこもり100万人時代」に必読の絶望と再生の物語。
感想
かなりリアリティがあるお話でした。
話としては、"いじめ"により7年間引きこもった息子と親の葛藤と再生で、よくある話ではあるのですが。
しかし、かなり心がザワツキます!
普段はあまり見ないけど、今回は他の方の感想を読んでみて、このお話は経験者とそうでない者とでは、かなり感想が違っていることに気付きました。
私が感じたのは、これは引きこもりの子供よりも親の成長記録じゃないかと。
最後には『いちばん大切なことは…お前が生きていること』
と言えた父親の心情に泣けました。
引きこもり息子に変化が現れたのは、やはり親が本気になったとき。
恥も外聞も見栄も世間体も何も関係なく、心から息子と共に歩もうという想いが伝わることが大切かな…
しかしあくまでも小説の話で、現実的には叶わないことも多々あることでしょう。
私は半分経験者です?!
もう20年前の話だけど、息子が高校1年生の秋に退学をする時、相手の子供達と親達を呼び出し学校で会談。
もしかしたら息子が逃げで虚言したかもしれないけど、私達親は息子の言葉を信じて本気でそれに対応したつもりです。 それこそ恥も外聞もなく…。
実際は不登校でも引きこもりでもなかったけど、精神的不登校児だと思えたので、親子で話合い不登校児の高校へ再入学し親子共に勉強し再生した日々がありました。
よく言われたことは《親が変われば子供も変わる》
これが簡単なようでかなり難しいんですよ。 でも本当に良かったと思える忘れられない3年間でした!
林真理子さんだからこそ書けた明瞭な展開や家族それぞれの心情。
余韻に浸るじゃなくて、なかなかザワザワが去ってくれなくて揺れたけど…
ありがとうございましたm(_ _)m