読書日記2021-176

【臨床の砦】

夏川草介❨著❩

[小学館2021年4月発行]

☆☆☆☆☆


「この戦、負けますね」
敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。

一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。 医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。


世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。

 「対応が困難だから、患者を断りますか?  病棟が満床だから拒絶すべきですか?  残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。 当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より


 

臨床の砦

 

現役医師としてコロナ禍の最前線に立つ著者が、自らの経験をもとにして克明に綴ったドキュメント小説。


2020年末から2021年2月頃の、コロナ禍の医療現場を舞台にした小説です。


このタイミングで著者が、この小説を世に送り出したことの使命感のようなものが伝わる小説ですね!


これは…フィクションではないな…


報道で耳にした「医療崩壊」という現実を、この本を読むことで実感できます。


こんな現実を他人事のように眺めている一般人。

大いに反省しないといけません。

もちろん私自身も…。


まだまだウィルスとの戦いが続く中、こんなに医療現場は大変なのか、多くの方に読んで頂きたい、読むべき本です!


緊急事態宣言も解除され、「待ってました!」とばかりに街に人が溢れてますね…

気持ちは分かるけど、気の緩みは必ず結果として現れます!

今まで通りの感染対策は、ぜひ続けましょう!


本書を読んだ方は絶対にそう思うと思います。



本書について著者が語るインタビューです



印象的な部分を抜粋


ありがとうございましたm(_ _)m