読書日記2021-108
【書店員と二つの罪】
碧野圭❨著❩
[PHP研究所2021年2月発行]
☆☆☆☆
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。
それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。 しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。
書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
『書店ガール』は読んでないので、初読みの作家さんです。
20数年前の神戸の事件が題材になっているのは間違いないだろう。
本書では、17年後に告白本が出たことからミステリー要素が生まれ、また新たな展開(事件)が始まる設定。
犯人家族はもちろん、親しくしていた友達や同級生に与えた影響も相当なものだったんだろうと想像してしまう。
実際にも犯人の告白本や親の告白本もありましたよね。
私は、被害者が子供と同じ年だったので興味があり両方とも読みました。
この本の中では、そういうミーハーな読者を快く表してないけど…。
同じ親として、母親の告白本には共感できる部分もありました。
誰だって、我が子を殺人犯に育てたいなんて思わないし…。
本書の落しどころも、まさにそれですね…。
ちょっとモヤモヤの残る結末だけど、生きていくためには現実的な選択だと思えます。
書店員の話を最近も読んだけど、やはり同じで、出版社や書店の普段見えない部分は興味深かったと同時に、書店員の葛藤も知れたかな。
ありがとうございましたm(_ _)m