読書日記2021-61
『介護士K』
久坂部羊❨著❩
[KADOKAWA2018年11月発行]
介護施設「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。 高齢者虐待の疑いを持ち、調査を始めたジャーナリストの美和は、介護の実態に問題の根の深さを感じていた。
やがて取材をした介護士・小柳恭平の関与を疑った美和は、再び施設を訪れる。
恭平は「長生きで苦しんでいる人は早く死なせてあげた方がいい」という過激な思想を持っていた。 そんななか、第二、第三の死亡事故が…。
高齢者医療の実態に迫り、人間の黒い欲望にメスを入れる問題作!
前回読んだ久坂部作品『オカシナ記念病院 』と重なる部分が大いにあった。
今回は高齢者施設の話で、つらい状態で生き続けるのなら死んだ方がよい、死なせるのは慈悲であるという、高齢者介護の実態が生々しく描かれていた。
在宅医療を扱った南作品『命の停車場 』でも大きな問題だった。
生きていて欲しい!という家族の気持ちはエゴ?
『積極的安楽死』は許されないのか?!
虐待に対しても、文中に出てくる介護従事者の言葉にも考えさせられた。
「年寄りを施設に預けている家族も共犯。文句ばっかり言って、感謝のかの字もない。要求ばっかり突きつけてくる。それで介護士はストレスをため込んで、入居者に当たるんだ。虐待の原因のひとつはそんな家族だ。」
「金を払っているからと言って、自分が出来なかった事を他人に押し付けて、自分以上の成果を求めるのは厚かましい」
どう感じるかは、人それぞれだけど…。
しかし結末は…スッキリしないなぁ(¯―¯٥)
ありがとうございましたm(_ _)m