読書日記133 天童荒太❨著❩
『迷子のままで』
[新潮社2020年5月発行]
僕たちはやり直せるのか。 騙され苛まれて立ち尽す無気力の荒野に、陽はまた昇るのか。 津波で失われたはずのノート。行方不明のまま永い時を経た少年の伝言。 数千キロ先の故国を目指す男が遺した言葉。そこからは強いメッセージが発信されていた。騙されるということ自体が一つの悪なのだ。やられっ放しで判断力を失う前にやるべきことがある。僕たちは迷子のままではいられない――。
心に沁みる再生の歌二編。
「迷子のままで」
「いまから帰ります」の2編
両方ともに社会問題となる題材で、悲しくて考えさせられる話でした。
「迷子のままで」は、幼児虐待の話。
親の子への理不尽と子どもの無力さにやりきれなくなる。
子供から学んで親になっていく大人も沢山いるだろうに、大人になれない親はそれも難しいんだろうか?
「今から帰ります」は、東日本大震災後の除染作業員の話。
除染作業員の苦悩、人種差別…。
人間の無力さが身につまされる…。
文中の伊丹十三の言葉
『だまされるということ自体がすでに一つの悪である…』のくだりには、「ハッ!」としました。
日常生活でもそういう事ってあるなぁと。
155Pの薄い本だけど、そこから感じる事は重いかもしれません。
ありがとうございましたm(_ _)m