究極のテスト?錆

どの自動車メーカーでもやっているテストなので、これは書いても大丈夫でしょう。

なぜか私は所属部署以外に頼まれてお手伝いする事がありました。全く業務内容が違う3つの部署にたまに手伝いに呼ばれるのです。

今思うと、言われた事以上に気遣ってやっていたからではないでしょうか。あとはこのような職場は変わり者が多いのです。接客する訳でもないし、他社との折衝もないから、個性と言えば格好がいいですが偏屈者も珍しくない。ブログに書けないような変わり者がいました。あんなので出社したら、普通の会社なら即クビですよ。

それなりに人付き合いが出来るからというのもあったのかも知れませんが、他の部署への応援で泊りでの出張に行った事もありました。

今回は地味ですが必要なテスト、錆のテストを書きます。錆はどういった要因で発生するかと言えば、空気中の酸素や水分と金属が化学反応して酸化する事を言います。

今でも「アルミだから錆びない」というアルミ製品の広告を目にしますが、嘘です。

アルミも酸化します。それを防ぐ目的で日本が発明したのがアルマイト(電蝕と呼ばれていました)加工。海が多く湿度も高いので、先に電気的に酸化被膜を生成すれば錆びにくくなる、という技術です。

マジ軽ナットを取付ける注意点はアルマイト加工されているエアーバルブなら、ネジの部分だけ金属製のブラシで取って下さい。アルマイトは酸化被膜ですから錆と同様で、導電性を悪くします。

自動車の場合はボディーの素材は高張力鋼という鉄が多く使われています。従来の鉄より強度があるので、薄く出来る=軽量化にも繋がると共に比較的耐食性も高いので、自働車にはもってこいの素材です。

自働車各メーカー共、過酷な環境下でのテスト走行を行っています。私の兄はトラックのテストでサハラ砂漠に出張に行っていました。お土産は砂漠の砂で、今でも保管しています。

錆のテストは専用のブースで行われていました。詳しくは書けませんが、錆の三要素を極端に増やす施設で、ここへは余り行きたくなかったですね。

まず、そのブースに入るのが嫌なんです。錆を進行させるのだから仕方ありませんが、アマゾンの熱帯雨林より凄い。そのブースに入り、異音がするドアを開けて車内に入りますが、もの凄い温度と湿度です。どの位凄いかというと、ハンドルが膨張して3割程太くなっています。もちろん、フロントガラスや他の窓も湿気と塩分がこびりついて見にくいのです。それで窓から顔を出してぶつけないように車を出します。

もちろんゆっくり動かしますが、ブレーキも凄い状態になっているのです。錆でブレーキディスクが平らではないので、「ゴリゴリゴリ」という音がします。

当然、ブレーキパッドにも錆が付着していますから、恐る恐る動かします。

写真アップは何十年も放置された鉄ホイールの物ですが、あらゆる部品がこんな風に錆びているとイメージして下さい。

テストとしていたのはなぜか Lハン(左ハンドル)ばかりでした。なので、余計に神経を使います。

テストの目的としては錆を進行させながら走行もさせる事だと思います。その車では周回路は走れるはずもなく、低速の悪路走行をしていました。

ガラスにこびり付いている物で視界が悪いので、冬でも前側のガラスは開けて走っていました。

一定の時間や距離が終るともちろん全バラにして各部品を検証します。これには関わった事はありませんが、見た事はあります。どのようにデータを取っていたかは分かりませんが、データを取ると言っても全部サビサビですから…。

写真ダウンは長期間放置されたものですが、これもイメージして下さい。放置車両は錆びやすいところから徐々に広がるのですが、短期間で強制的に錆びさせるのであらゆるところが錆びています。もちろん程度の差はありますが。

ボディーの方は私の部署でやっていた全バラより更にやっていました。錆の進行を見るのでスポット溶接をドリルで揉んで(穴を開けて)各パネル単位まで徹底的に分解していました。車は外側の塗装面やプラスチック部品は結構まし(とはいっても凄い汚れ)でも、袋状になっている箇所は湿気が溜まり中から錆びます。

日本は湿度が高いので、寒暖差だけでも水分が付着して錆の原因となります。もう一つは土壌です。日本の多くは酸性土壌なので、そこから酸性の湿気が上がって錆を促進します。上の写真もひどいですが、こんな程度ではありません。

「テストするのは分かるけど、無理やり錆びさせてデータをどう使うのだろう?」とは思いました。まぁ、私は手伝いなので詳しくは聞きませんでした。

地味なテストですが、一口にテストと言っても様々なものがあります。

錆対策については機会があれば書こうと思います。

マジ軽ナットは効率良く放電させるのと、錆びると電気抵抗が増えるのでそこをバランスを取って作っています。詳しくは企業秘密ですが、半永久的に使えますのでご安心を。ただ、汚れが付着すると放電効率が低下しますので、たまに歯ブラシ等で軽く洗って下さい。

最近、タイヤショップがマジ軽ナットをリピート購入して下さいました。タイヤのプロショップが効果を認めて、今度は長距離トラックのドライバーが腰を痛めることがあるので、マジ軽ナットでそれが改善されればと期待されています。

オイル・グリスもそうですが、ゴムも帯電するとゴムの分子の動きが悪くなるので、振動を吸収する能力が低下します。

トラックなら多量のクーラントを循環させなければいけません。デフもすごく大きいです。相当パワーロスしますから、ここも除電したいところですね。

自衛隊の兵員輸送用のトラックに乗る自衛隊員も演習場に向かう途中で腰を痛めてしまうそうです。自衛隊の装備品にも、是非、除電技術を知ってもらい使用してもらいたいです。防衛装備庁には去年の2月に通知はしています。