除電で空気流を味方に

タイヤの除電効果の特許解説シリーズが続きます。それだけトヨタの特許のボリュームがある訳で、だからこそ解説する価値があると思いませんかはてなマーク

このような”特許庁文書”を中学生でも理解出来るように書いているブログは、まずないでしょう。

静電気の除電の効果は頭で分かっても、体感しないと納得しない人が多い。エアコンを知らない暑い国の人に「エアコンというものがあって、それを使うととても涼しくなって快適なんですよ」と言っても、あの快適さを体感していないと実感が湧かないのと同じです。

実際にハンドリングが良くなったり、転がり抵抗の減少で出足が良くなったり、あの感覚は言葉だけでは分かりません。だからこそ、エコランに参戦している工業高校には、「理屈云々ではなく、自転車で試乗してもらえば分かります」と、疑われているのを知りながら体感してもらったのです。

日産のディーラーの店長も「転がり抵抗が減るなら、タイヤが長持ちしますね」と話しています。さすが、良くご存じですね。

このような新しい除電の技術はまだ多くの人は知りませんから、カローラの動画ダウンを見て欲しいです。除電はレースで実際に使われているチューニング。その除電の効果を広めるために当ブログを書いています。

下手な事にお金をかけるより、よほど効率が良くなる。素人は何かを足して性能を良くする事には熱心ですが、それはメリットもあればデメリットになる事もあるし、ほとんどは買った物の自慢。

デメリットを減らして性能を上げるのは地味だけれども、ポイントを押さえればデメリットはありません。低フリクション、軽量化等の無駄を減らす効果的なチューニングは、玄人やプロならではのチューニング。

無駄を減らせば、結果的に安上がりになる。投資したお金の元が取れるばかりではなく、お金が浮くのです。

だから当ブログは、そのような深い所までの知識や技術を持っている人が読んでくれています。だいたい、うわべだけの人は一投稿5,000文字にもなるブログは読まないでしょうはてなマーク写真を自慢するだけなのですから。

毎度お馴染みの通り、青太文字はトヨタ自動車の特許の文章のコピペ、その下に解説文を書きます。

【0031】
  具体的には、帯電する電位が所定値以上になることによりコロナ放電が発生する自己放電式除電器12を、タイヤ7における内周部分10や、リム部6やスポーク部5に取り付けている。なお、図2には、タイヤ7における内周部分10、およびリム部6の外側に露出した面に、自己放電式除電器12を取り付けた例を示している。

自己放電式除電器(12)をタイヤの内周部分やリム部やスポーク部に取り付けている。図2アップには内周部分10、およびリム部6の外側に露出した面に、自己放電式除電器(12)を取り付けた例の図解。


【0032】
  この自己放電式除電器12は、金、銀、銅、アルミニウムなどの導電性金属を用いることができ、アルミニウムを用いる場合には、外表面に酸化防止加工を施すことが好ましい。これは、酸化による導電性の低下を抑制するためである。この自己放電式除電器12は、導電性金属箔と導電性接着剤との層からなる接着テープであって、例えば、導電性アルミニウムホイールテープなどを、コロナ放電が生じるように外縁部や外周壁に鋭利もしくは尖った角部が形成されるように切断したものであってよい。

自己放電式除電器(トヨタの除電方式の名称)は金、銀、銅、アルミニウムなどの導電性金属を使ってそこから放電して除電するという特許。その中で腐食(酸化)しやすいアルミニウムは酸化すると放電量が落ちるので、酸化防止加工が必要。

よく素人がアルミ箔テープをあちらこちらに貼って「除電効果があった」とやっているのを見ますが、ほとんどの人はこのような事を全く分かっていません。

キッチンに使うような接着剤付きのアルミテープを貼っているのです。このように理屈を分かっていないから、素人考えと言われてしまうのですね。

まず、いくら貼ったところで接着剤(糊)に導通性がなければ、アルミ箔まで電気が流れませんから、当然放電しません。導電性の接着剤は販売されていませんから、特許を真似したところで効果はありませんし、これは特許権の侵害で犯罪です。

例え、導電性の接着剤が手に入ったとしても、アルミは酸化しやすい材質で、酸化すると電気の導通が悪くなるので、頻繁に交換する必要があります。取り付け位置は路面に近く、風雨で埃や汚れが付きやすい位置にありますから、汚れたり酸化すると大きく放電量が低下します。

下の写真を見て下さい。トヨタの特許の図で示されている、ホイールの一番除電効果が高い位置のリム部(黄色の丸)です。

マジ軽ナットの取り付け位置はピンクの丸ダウンのエアーバルブ。どうでしょう、偶然とはいいながら、トヨタの特許の図アップの位置と極めて近いですね。静電気を効率的に放電させる位置として、最適な位置に極めて近いのです。

タイヤ・ホイールの”適正な位置”で除電すれば効果は間違いないのですが、トヨタはこの自己放電式除電器の特許は取っていますが、私の知る限り実用されていないようです。それは、一番安価なアルミニウムだとすぐに酸化してしまう、銅も銀も表面が酸化してしまえば放電効率は著しく低下する。金は酸化しませんが、まず価格が高すぎるのと、ホイールに付けたら目立つから、剥がして盗まれてしまう。

このような理由で”除電の効果があり、特許は取ったけれど実用化されていない”のでしょう。

自己放電式除電器(12)は先ほど書いたように、導電性金属・接着剤で構成するテープ状。コロナ放電しやすいように外縁部・外周部に尖った角になるよう切断しても良いというのは、自己放電式除電器は面積を使って除電するアイデアで、放電量を確保するためには面積が必要。それだけでは放電量が稼げないので、切断部分からも放電させようという事です。

その点、マジ軽ナットは材質と形状で放電させるので、ホイール外周に点々と取り付ける必要はなく、エアーバルブに付けるだけで効率良く除電します。最近は「もっと除電量を増やしたい」と2個付けする人も増えていますが、1個で十分です。

取り外しも容易だから次の車にも流用出来る、どれだけコスパがいいのでしょう。

タイヤ・ホイールでは、ぐるっと一周、自己放電式除電器を付けてしまうと下図ダウンの曲線を見れば分かるように”除電し過ぎ”となり効果が低下する。それを防ぐために、ところどころに貼っているのです。これが私が説明している「ほどほどの除電でいいですよ」という意味。除電し過ぎの効果の低下を知っているからです。

実用化されていない理由の一つには上図アップのように所々に貼っているので、見栄えの悪さもあるでしょう。

【0033】
  このように構成された自己放電式除電器12は、自己放電式除電器12が取り付けられた部分に静電気が帯電して、その電位が高くなると、それに伴って自己放電式除電器12の電位も高くなる。その自己放電式除電器12に帯電する静電気の電荷は、鋭利もしくは尖っている角部に集中する。上記のようにタイヤ7やリム部6やスポーク部5の塗装面には、正の電荷の静電気を帯びるため、それに伴って自己放電式除電器12の周囲に負の空気イオンを引き寄せ、ついにはコロナ放電が生じる。すなわち、バッテリなどの電気機器によって電荷を与えることなく、自己放電式除電器12の自ら帯電した電荷によって放電を生じる。これと同時に自己放電式除電器12を設けてある箇所の電荷が中和除電されてその電位が低下し、空気流との斥力が低減する。このようなコロナ放電を伴う空気イオンの引き寄せや斥力の低下などによって、車両Veの側面に沿って流れる空気流が、車輪1R,1L,2R,2Lやその周辺から剥離することを抑制できる。その空気流の車輪1R,1L,2R,2Lからの剥離が抑制されることにより、車輪1R,1L,2R,2Lおよびその周辺での空圧の変動などが抑制される。その結果、想定したとおり、もしくは想定に近い空力特性が得られ、極低速走行時から高速走行時までにおけるロール方向およびヨー方向の車両の挙動の安定性が向上する。

帯電した静電気は電位が高くなると自己放電除電器の電位も高くなり、鋭利な部分に集中する。タイヤやホイールリム・スポーク部の塗装面は正()の静電気を帯びるため、それに伴い自己放電除電器の周囲に負(⊖)の空気イオンを引き寄せ、コロナ放電が生じる。コップに水が満杯になるとあふれ出すように、一定の電位を超えるとコロナ放電をする。コロナ放電と言っても電流は低いので、冬にパッチッ雷となるような激しい放電ではありませんから、目には見えません。冬に車を乗り降りする際のパッチッ雷となる事は減少します。

この除電方式はバッテリーなどの電気機器を使用した物ではなく、自己放電式除電器に帯電した電荷により放電する。これはマジ軽ナット”自己放電”するのは同じです。

放電すると自己放電式除電器のある個所の電荷が中和除電されて電位が低下し、空気流との斥力(反発する現象)が減少する。

その下をまとめると、コロナ放電を伴う空気イオンの引き寄せや斥力の低下により、車両の側面に沿って流れる空気流が車輪やその周辺から剥離する事を抑制、車輪やその周辺の空圧の変動も抑制される。

その結果、想定・想定に近い空力特性が得られ極低速走行時から高速走行時までにおけるロール方向・ヨー方向の共同の安定性が向上する、つまり走行安定性・操縦安定性が向上する事が証明されています。

レースでは車体の空気流を整流するカナードやエアロパーツが付いていますが、空気の流れを有効に使うためなのはご存じの通り。このように空気流を味方に付ける事で、今までより安定して走れる訳ですから、ブレーキタイミングを遅らせられる、直線はもちろんコーナーも安定して走る事が出来る。

このように、本気で良い走りをしたい、乗り心地を良くしたい、節約したいという方はネットショップへどうぞ。ダウン

10月15日(日)大磯ロングビーチ駐車場で開催される湘南ヒストリックカークラブ主催のジムカーナレース会場でのスワップミートに出店します。

従って、同日開催のエクスチェンジマートには出店しませんので、ご注意下さい。