ワイセコの評判は?

私がWisecoを組んで10年余りが経って、何人かが輸入されたピストンを組みました。

それまでの間、何度か仲間に頼まれて、個人輸入しました。ワイセコも進化しており、ピストンリングのトップとセカンドの間に、オイル溜めの細かい溝が掘られていたりしていました。

問題のピストンクリアランスも、多くの人が100/1000(当時の空冷)以上でホーニングしたようです。「○○さん(私)、クリアランスはいくつで取りましたはてなマークと何度か聞かれました。

何しろ、私と同じ車種でワイセコを組んで長く走っているのが、私しかいないからです。

ツーリングで会うと、「○○さん(私)、ワイセコの調子はどうですかはてなマークと何度か聞かれました。「別に問題ないですよ。ただ、温まるまでのスラップ音はうるさいですけれど」大体そんな答えをすると、「そうですかぁ~、今一つなんですよ、○○さん(私)は暖気するからかな~はてなマークと言われたことがあります。

逆に質問して、「えっ、暖気しないで走り出すのはてなマークとこちらがビックリ。私は車だろうが、オートバイだろうが、必ず暖気します。「環境が…」という人もいるかと思いますが、ならばエンジンの消耗が劇的に早くなります。そちらの方が、使い捨てではないでしょうか。

エンジンオイルも、使用状況や季節によって、温度上昇を考えて番手を合わせます。

一般のユーザーは何も気にしないかも知れませんが、オイルは人間に当てはめれば血液です。現在は、ほとんどが燃費対策用のシャブシャブのオイル(0W-20とか)が入れられています。ホント、水のようです。

オイルの粘度が低いほど抵抗が少ない=燃費に有利という訳ですが、OWとかのオイルは潤滑力が低いので、添加剤をたくさんいれているという噂もあります。

本来であれば、適度な粘度のオイルを入れて、エンジンが温まって来た時に適正な粘度になるのが理想です。金属は油膜で保護されているのですから。

ピストンクリアランスは、エンジンが温まった状態で適正になるように設計されています。シリンダーも金属(メッキも含め)、ピストンも金属。暖気しない状態でピッタリのクリアランスだったら、温まったら焼き付いてしまいます、当たり前ですけれど。

レースでは決まったマニュアルに沿って、徐々に暖気します。冷えたエンジンのままいきなり乗り出すなんてありえません。

話を戻しますが、「鍛造ピストン」シリーズで書いた通り、純正の鋳造ピストンより、鍛造は膨張率が高い(当時)のですから、冷間時はスカスカのクリアランスです。それを、ろくに暖気せずに乗ったら、調子がいい訳ががないビックリマーク「調子が悪いのはワイセコのせいではなく、あなたの認識不足のせいですよ!!と言いたくなるのも、お分かり頂けるでしょう。まぁ、大人だから、「ちゃんと暖気して乗って下さいね」としか言いませんでしたが…。

暖気しないのなら、純正のままでいいのです。それでも寿命は縮みますけれど。

切れのいい鉄製の包丁は錆びやすい。だから、それなりのメンテナンスをする必要があります。それが出来ないなら、切れが悪くてもステンレスを使うしかない。手を抜くのですから。

鍛造ピストンは元々レース用に開発されたもの。ならば、それなりの扱いが必要です。だから素人判断は止めて欲しいのです。

このような知識が少しは皆様のお役に立っているでしょうか。