静電気を取るメリット

 

カーボン=炭素ですから、電気を通します。タイヤにそれを混ぜ込んでいるのには、ちゃんと理由があり、「発生する静電気をアース(地面)に放電させる」のが目的の一つです。その2で書きました。タイヤが黒いのはカーボンを混ぜてあるからだと知っていると思っていたら、意外に知らない人が多くて驚きます。

回転する物には、特に静電気が帯電します。例えば、エアコンの室外機。コンプレッサーが回転して帯電するので、必ず銅の棒を地面に刺して放電させています。業務用の掃除機も同じ。ひっくり返すと、床面に放電させるための線が付いています。

昔、公共放送の番組で「電子立国 日本の自叙伝」だったかな、連続した番組があって、当時、世界一だった日本の半導体産業がどのようにして発展したかを取材した番組がありました。その後、番組に出演されていた、当時、東北大学の名誉教授だった西澤教授と、偶然、電車の中でお会いして、名刺交換をしたことがあります。「あの番組を見て感動したと、よく声を掛けられるんです」そうおっしゃられていました。私もその中の一人でした。

その番組の中で、半導体工場で一番重要なのが、単結晶シリコンを造るための”完全に安定した電力”です。例えば、会社の終業時間が来て、一斉に照明のスイッチを切る、その僅かな電圧の差で単結晶が上手く出来ないのだそうです。それともう一つが、静電気雷なのです。

ICチップなどの集積回路を作る時に、基本的に結線は極めて細い金線を使います。

もちろん、超精密な工作機械がやるのですが、そこに僅かな静電気雷が流れるだけで切れてしまう。だから、半導体工場では静電気は、ダメ・ゼッタイなのです。

冬場に車の走行テストをしていると、静電気が凄いんです。シートは化学繊維、服も化学繊維ですから、帯電します。あるテストコースに入る時には、事故防止策で一台しか入れないように、信号のスイッチを押して入場します。すると、指からそのスイッチにバチンピリピリと放電します。暗いと間隔が1㎝ちょっとあっても、指先に青白い光が飛ぶのです。ビックリもするし、痛いので、シャープペンでスイッチを押すようになりました。それだけ車体に帯電している訳です。

また、シートベルトを引っ張ると、静電気が起きて、ラジオにノイズが入ります。

それで、何度か報告書に書きました。結果は「問題とせず」せっかく、書いたのにねぇ…。

家庭の中なら、冬に乾燥している時、フリースやセーターを脱ごうとすると、”パチパチパチ”と静電気が起こって脱ぎにくいですね。帯電していてプラスとマイナスが引き寄せているのを、力で引き剥がす。それが、あの嫌な感じです。女性の髪の毛も同じです。

友人は「それがタイヤや他の部分でも起こっているのではないか。静電気を取ればメリットがあるだろう」と、過去の経験から思いついたのです。

それで、探したある物を私の車に貼ったり、バイクに付けたりして試した訳です。

友人が思いついたアイデアだけれど、直感で「これは面白い!!そう思いました。

その4に続きます。