実は鍛造ピストンを個人輸入していました

おそらく、私が日本で3番目に輸入したと思います。日本にバイクの鍛造ピストンを輸入・販売していたのは、当時、2社だけだと思います。もちろん、レースとか研究用といった、市販ベースではない所はあったかも知れません。そのような所は外部には言いませんから分かりません。

モノ作りの考え方に繋がりますので、シリーズで読んで下さいね。

昭和の時代の話ですが、オーバーサイズのピストンを組もうと考えていました。バイクのクラブでも、ノーマルが好きな人、改造が好きな人もいましたから後者の友人と話し合っていました。

なぜかというと、純正部品が高かった。それなら、個人で輸入出来れば同じ位かもっと安くなるかも知れない。それで、調べ始めたのです。

見積りを取ると、総額でも純正部品よりも安い、そして鍛造だから強い。グッもちろん、相当札束載せているアップの2社の半額以下です。「よ~し、がんばるぞ~筋肉となりました。

鍛造ピストンの存在はすでに知っていましたし、純正とは取扱いが異なるのも知っていました。

学生の時に買った本ダウンは、バイクのカスタム、サスペンション、キャブレター、フレーム、エンジンチューニング、ピストン等、情報が少ない時代なのに、図解や写真で詳しく書かれていました。テストドライバーの友人にも評判が良く何度か貸したこともあります。

その中に鍛造ピストンの紹介があり、Wisecoも載っていました。だから、そのようなアフターマーケットのピストンには、特殊な形状のピストンリングがある事も知っていました。

仕事で海外出張をするようになり、現地の社員ともコミュニケーションを取らないいといけないし、指示をする必要があります。それで、苦手な英語を少しずつ勉強するようになっていました。

ちょうどその頃、個人輸入が流行っていて、クラブの友人も興味を持っていました。海外の雑誌を買って、日本の個人に送りそうなショップを探して、「カタログを送って欲しい」と打診する。で、どう連絡するかというと、FAXさえ持っている人が少ない時代です。もちろん、ネットのネの字もない。どうするかというと、エアーメール手紙です、空メールではないですよ。飛行機飛行機で送るやつ、手紙です。てへぺろ

私は海外に行くと、ホテルの部屋にあるイエローページの部品屋のページを失敬して来て、帰国したら手紙を出す。そんな事もしていました。

”ビジネスレターの書き方”や”個人輸入は簡単”的な本を片手に、ワープロで手紙を書く、もちろん英文です。それで、郵便局で換金できる少額の小為替(名前は忘れました)を切手代として同封する、それを一か八かで送るのです。パーツメーカー、部品屋などたくさん送りました。

意外と返事は返ってくることが多かったです。6割位かな。ただ、時間はかかります。

そんな事を数人でやって、情報交換。あるショップでワイセコを日本に送る所があると、知りました。

個人輸入をしたことがある人は分かりますが、問題は送金と通関です。当時、クレジットカードを持っている人はまだ少なく、私も持っていませんでした。米国では既に現金は信用がなくなり、クレカでないとレンタカーは貸してもらえなくなっていました。

それで、支払いはどうするかというと、郵便局でポスタルマネーオーダーを作り、それをEMSで送る。米国だけはそれが認められていたのです。当時はEMSは郵便局に登録しないと使えない時代でした。

ショップにコンタクトを取り、見積もりを依頼、納得したらそれからPOMを郵送。今なら、ポチれば簡単ですけれども…。

まだ難関はあります。通関は郵便なら郵便局が代行してくれて、通関料がかからないのも調べたし、関税も部品は相互協定でかかりません。そういう事も調べ上げたのです。

次に続きます。