トリッパのシェフによる完璧な匂い0.1度のトリッパ=ハチノスの下処理を公開します。私は正直言ってホルモンが嫌いでハチノスが苦手でした。ヨーロッパの人は何でこんなに臭い物を好きなんだろう?と疑問を抱いていたくらいです。チーズの匂いは発酵による匂いで旨味成分も増加しますので食べたら美味しいとなりますが内臓の臭みは細菌によるものと消化液や、発酵物による物ですので別物です。胃酸の匂いを香りとは言いませんよね?


芝浦直送の和牛のハチノス  美しいですね ヒダヒダは気持ち悪いですが… こんな美しいハチノスは中々ありません。







    

材料


ハチノス 1キロ〜2キロまで対応

(和牛か国産物)


パスタ30gもしくは茹で汁もしくはセモリナ粉又は小麦粉 


玉ねぎ1つ


セロリ2本


ニンニク1房


オリーブオイル又は普通の油



コンビニで売ってる一番安いワイン750mℓ

(350円ほど)


当店ではオスコビアンコマグナムサイズをハーフ

440円ほど 


気の抜けたスパークリングワインをたまに使いますがその方が匂いが消えやすい気がします。理由は不明 


​工程1

3段階の調理をしていきます。

まずは、ハチノスですがご自宅で下処理をされる場合には必ず、表面の黒い皮が掃除されている物を購入して下さい。今はネット販売してる所も多いのですぐに見つかると思います。黒い皮が付いたまま冷凍されている物は最悪な臭いの服を着たまま下処理されずに冷凍したものですので買わないのが鉄則です。臭い服を着たまま冷凍したようなものです。匂いが消えません



まずはハチノスをよく水で洗います。その後、なるべく大きな鍋で水から茹でます。沸いたらお湯をこぼし水で洗います。かなり始めの匂いは臭いです。(良く言ってドブの匂いです…)ここでよく汚れや臭みを取り除き、お店の場合はランチ後のパスタの茹で汁を使いロスを無くしますが、ご家庭でしたら少しパスタを入れるもしくは、1パーセントの塩+セモリナ粉か小麦粉をお湯が濁る程度入れます。簡単に言うと小麦に汚れや細菌が吸着して綺麗になります。



パスタかセモリナ粉 塩を入れ、火をつけて沸いて5分ほど経ったらお湯を捨て先ほどの工程を4回〜5回 個体差によりますが臭いが無くなるまで続けます。 ご家庭でしたら、そんな大きな鍋は無いので10回ほどでしょうか?大体当店ですと2時間ほど、繰り返します。



匂いが消えたらもう安心?いやいや細菌がどんどん増えて臭いがまた戻ってしまいますのでザルにあげたら粗熱を冷まして、真空や袋に入れて冷蔵庫にいれたり冷凍します。翌日取り出して今度は仕上げの臭み取りです。この時点ではまだ臭いがあります。普通のお店や教科書で教わるトリッパの仕込みは、ここから野菜とトマトなどで煮込んでいきます。が、それが臭いの原因。。悪く言うと、ドブ風味のトマト煮になります。。日本人は教わった事を真面目に忠実に実行するのが得意なので私みたいな教科書や先人の知恵を疑う料理人は愚者なのかもしれませんね…  



『賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ』とドイツのビスマルクの言葉ですが、賢者だって愚者がいなければ賢者にはなれない訳ですよね。愚者が挑戦した経験を遠くから見ていた賢者が学んだはずですからね。


世の中、賢者だらけならそんなつまらない世の中ありませんよね 


おっと話しが逸れました


臭みはトリッパの香りとか言う人もいますね。まぁ人それぞれ


この時点で質量が1キロから600g程度に減ってるはずです。儲かりませんね

工程2


まずは大きな鍋にひまわりオイルやオリーブオイル 当店ではエクストラバージンオイルとブレンドオイルを鍋に対して2割ほどタップリ入れます。そこに野菜のクズ、沢山のセロリの葉っぱ ニンニク1房を半分に切ったもの 玉ねぎ厚めのスライス 水に対して1パーセントの塩 ローリエなど にんじんは私はハチノスに色が着くために入れませんがご自宅では入れても良いと思います。イタリアでは、ビネガーやレモンを入れますが酸味が後の味付けを邪魔するので入れない方が良いです。



そしたら野菜を良く炒めます。色付いて野菜の香りがして来たら、必ず火を止めて水を入れます、ハチノスを先に入れてしまうと表面が焼けてしまうので水を入れてからハチノスです。その後に白ワインもいれます。水の量は溢れないように調節しましょう。ポイントはここです。アルコール分を飛ばさないままワインの香りを保ったまま赤ワイン煮込みの要領で煮込んでいきます。オイルで蓋をするように、クッキングペーパーなどで落とし蓋をして、だいたい4時間煮込みます。水分が減っていくのでその都度水を足します。圧力鍋などは匂いを素材に付けるだけなので匂いのある食材には絶対におすすめしません



​仕上げ


茹でたハチノスをザルとボウルに取り出して新鮮な中野区の水道のお湯で滑りを取るように優しく洗います。茹でた汁はハチノスの臭い部分を集めた液体ですので、臭いフェチな方でしたら使っても良いですが、私は苦手なので廃棄します。(イタリアではこの液体につけておいたりします)


上からトングで上げてアミアミの部分と下の部分が自然と切れるか切れないかくらいがベスト。簡単に切れてしまったら茹で過ぎです。


最後にハチノスに熱湯をかけて細菌を殺菌します。これでようやく仕上げです。



あとはこのハチノスを煮込んでいきますが


冷蔵庫で一晩コラーゲンを、固めてから煮込んだ方がプリプリになります。ただ外国産の安価なハチノスや物が悪い物は、私はこの工程を修行と呼んでいますが、この修行に耐えれません。柔らかいけど紙みたいなゴムを煮込んだような柔らかさになります。外国産を使用する場合は茹で時間を2時間ほどで諦めて多少の匂いと硬さは我慢するしか無いのかもしれません…ここからトマトソースや野菜などと煮込んで完成します。



完成までに2日はかかりますが美味しいには時間がかかるものなんですね。当店ではこれを11年続けています。下処理をしたハチノスは繊維が壊れているので冷凍してしまうと水分が出てブニャプニャになって使い物になりませんので、ご注意を 1段階目の下茹でなら冷凍可能です。ご家庭でしたら問題無いのかもしれませんが。。。 逆にクタクタのトリッパが好きな方は冷凍すると良いかもしれませんね。料理に正しいは存在しないですからね。



仕上げの煮込み方にもコツがかりますが、ここからは企業秘密です。


(言って見たかっただけです)



と5月頃に書いてアップするのを忘れていた記事でした。


トリッパ(ハチノス)の下処理でした





チャオ