千曲川沿いにのどかな田園風景が連なる信州・長野と新潟・十日町を結ぶ飯山線には、観光列車「おいこっと」が走っています。ふるさと=田舎をイメージしてもらうため、東京の真逆にあるという意味でTOKYOの英語表記を反対にした「おいこっと」とひらがなで表現されています。指定券があれば青春18きっぷでも乗れる快速観光列車です。
コンセプトである“日本人のこころのふる里”を代表するローカル線として、訪れる人すべてにやすらぎと癒しを提供したいという思いと、田園風景や山、川など日本人が描くふるさと(田舎)をイメージにした列車が「おいこっと」です。土・日曜・祝日を中心に飯山線(一部しなの鉄道)の長野~十日町間を1往復しています。
1号車の車体は、クリーム色(アイボリー)とエンジ色の専用塗装で、写真の2号車は、正面~ドアにかけても色が反転してエンジ色ベースになっています。
車両の正面等に描かれているアイコンは、「雪ん子」をイメージしたキャラクターと「おいこっと」が組み合わされ親しみのあるデザインで表現されています。
外観デザインは、「ふる里」や「おばあちゃんの家」を連想する茅葺屋根の民家の襖や障子などをイメージしたものです。また唱歌「故郷」(作詞・高野辰之:長野県中野市出身)の歌詞『兎追ひしかの山、小鮒釣りしかの川・・・』に登場する「兎」「山」「小鮒」などを、ふるさとをイメージした影絵風のマークにして車両の内外に描かれていて、民話の世界観が楽しめます。
内装も子どもの頃、夏休みに遊びに行っていたおばあちゃんの家のような、懐かしさ、楽しさを感じさせる「古民家」風のこころ落ち着く内装デザインになっています。床が板張りであったり、座席のシートが座布団のようなかすり生地風の和風柄だったりと温かみのある雰囲気を出しています。
車内の上部に備え付けられたモニターテレビかからは、沿線の観光地を紹介するDVDが流され、旅の気分を盛り上げてくれます。
座席の配列は、赤茶色の布地の4人掛けボックスシートと
通路を挟んで紺色の布地の2人掛け対面シート、
そして端の両側にロングシートという配置です。ロングシートは2席ごとにテーブル収納を兼ねた肘かけで区切られています。全席指定なのですが、えきねっとでは、予約の際座席指定ができないので注意してください。
ボックス席では1号車、2号車ともに2人掛けシートのほうが千曲川側になります。車窓からの眺めは千曲川側がおすすめです。写真を撮るのも朝方は逆光気味ですが問題ありません。反対に午後からは車体が影になってしまい手前に影が映り込んでしまいます。
車内では、沿線の木島平村出身の常田富士男さんのナレーションが流れます。「まんが日本昔ばなし」などでおなじみの声は、おいこっとの雰囲気にぴったりで沿線の魅力を語ってくれています。
長野駅で駅員さんに見送られ9:15出発です。
「おいこっと」には「おいこっとあてんだんと」が一人乗務しています。昔なつかしい「もんぺ姿」で、車内での観光放送、記念撮影の補助、車内販売などの旅のお手伝いをしてくれています。
出発するとまもなく、ふるまいおもてなしとして、信州のお茶うけの定番「野沢菜漬」が配られます。
長野駅から飯山駅までは雄大な千曲川沿いの里山の景色を見ながら列車に揺られいきます。写真の山は標高1351.5m、中野市・山ノ内町・木島平村の境界に位置する「高社山」で、別名「高井富士」とも呼ばれています。
「おいこっと」は快速電車とありますが、長野駅から十日町駅までの間約86kmを約2時間半かけて走ります。途中「替佐」「飯山」「北飯山」「戸倉野沢温泉」「森宮野原」「津南」の6駅に停まりますが、特に飯山駅で15分、新潟県に入る手前の森宮野原駅で15分と発着に時間があります。
長野から40分程で2つ目の停止駅「飯山」に到着します。北陸新幹線の停車駅でもあり、新幹線なら10分です。15分程度の停車時間がある飯山駅では「おいこっとまるしぇ」をのぞいてみましょう。おいこっとの運転日にあわせて、飯山駅で地元ゆかりの品を販売しています。
戸狩野沢温泉駅ホームでは、野沢温泉に伝わる木造りの夫婦道祖神が迎えてくれます。八衛田毘古(男)神、八衛田毘賣(姫)神と伝えられる縁結び・子宝の神さまです。野沢温泉道祖神火祭りは、「無病息災」「家内安全」「五穀豊穣」を願い、毎年1月15日に行われる国の重要無形民俗文化財に指定されている日本三大火祭りに数えられる祭です。停車時間が1分しかないので写真を撮ったらすぐに近くドアから車内に飛び込みます。
新潟県との県境近くにある「森宮野原駅」は日本有数の豪雪地帯・栄村にあります。7.85mという「日本最高積雪地点」の標識がそびえたっています。標柱の頂点がその高さなのでしょうか、3階建ての家ぐらいあるのかと考えると驚きです。
ここの停車駅では15分の停車時間を使って、日本の雪国で古くから用いられていた防雪具「すげぼうし」をかぶって写真を撮影することが可能です。誰でも可愛く写る「雪ん子」に変身、おいこっとキャラクターもかぶっています。
森宮野原駅からトンネルを抜けるとそこは雪国・新潟県に入ります。
千曲川は新潟県に入ると名前を信濃川と呼ばれるようになります。ちなみに全長367kmの信濃川のうち千曲川は上流の長野県内部分214kmをいいます。
2時間30分の観光列車の旅もいよいよ終点十日町駅に到着です。
この駅は新潟を走る、お酒を楽しむリゾート列車「越乃Shu※Kura」の停車駅でもあります。
ちょうどお昼時、十日町といえば「小嶋屋総本店」、ふのりをつなぎに使うへぎそばの老舗です。織物に使われていたふのりにヒントを得て初代がつくり上げた味は、そば粉100%なのにツルっとした咽越しでシコシコの歯ごたえが特徴的です。
手繰りで1口分ずつ盛り合わせたへぎそばは布の目のように美しく、織物の里としての長い伝統を感じさせます。
帰りのおいこっとの時間まで十日町ステージ越後妻有交流館「キナーレ」に寄ることにした。十日町地域6市町村の新しい観光・交流拠点施設として整備されたものです。「キナーレ」は地元の方言で「来なさい」という
意味です。今年」で7回目を迎える国際芸術祭「大地の芸術祭」の拠点施設で。国内外のアーティストの現代アート作品が見られます。
建築は「梅田スカイビル」「京都駅ビル」などを手掛けた世界的な建築家・原広司により設計され、真四角の形状、中央の巨大な池、吹き抜けの天井、水辺の回廊など、開放感あふれる独特な空間です。
当日は2000年から3年に一度開催されている越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」が開催されていていました。
帰りのおいこっとまで時間があるので館内の温浴施設「十日町温泉明石の湯」で入浴TIME.明石の湯は、天井が高く、明るく広々とした空間が魅力の温泉で、男女日々入替制の“かすり”と“ちぢみ”の2つの浴室、効能豊かな生薬湯や季節の変わり湯など多彩な湯が堪能できます。お湯は塩化物・炭酸水素塩泉で泉質は柔らかく刺激が少なく肌に優しい単純温泉です。
帰りもおいこっとの旅を楽しみます。
























