ユネスコ無形文化遺産:山・鉾・屋台行事33箇所のひとつ「城端曳山祭」富山・城端 | サラリーマンおやじのさえずり小鳥っぷ(小旅行)

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城端は、富山県の南西部に位置し、世界遺産「五箇山」のふもと、開基から540余年を経た真言宗大谷派の古刹・城端別院善徳寺の門前町として栄ました。屏風のように連なった山並みや町を挟むふたつの川(池川とう山田川)、散居村と呼ばれる独特の農村風景など豊かな自然に恵まれ、古い蔵や格子戸の町家、石畳の通りが残るノスタルジックな町並みは「越中の小京都」とも呼ばれています。また古くは加賀藩の一部として城端塗りや絹織物の生産など、独自の伝統文化を育んできました。

 

そんな越中の小京都の春を彩る城端神明宮祭の曳山行事が、ユネスコの無形文化遺産に33件ある「山・鉾・屋台行事」のひとつとして登録された城端曳山祭です。御神像を乗せた6台の山車が善徳寺を中心とすり南北約1kmの城端の町中を練り歩きます。京都祇園の一力茶屋を模した精巧な「庵屋台」がそれぞれの豪華な曳山を先導するのが特徴的で、笛、三味線の音色にのせて江戸端唄の流れをくむ城端独特の「庵唄」が唄われながらゆったりと優雅に町を練り歩く姿が一見の価値ありです。

 

 

前日の「宵祭」では6ヵ町の各山宿で御神像が飾られる「飾り山」が披露されます。1時間もあれば全ての飾り山を徒歩でゆっくり見て回ることができます。写真は大工町の飾り山で御神像は“関羽・周倉”です。

 

 

本祭当日は朝早くから昨日の宵祭から山宿に飾られていた御神像を曳山の上に移し、曳山・庵屋台の準備から始めます。写真は今年の一番山である大工町・千枚分銅山の曳山に御神像“関羽”を移しています。

 

 

その頃「御旅所」ある伝統芸能会館「じょうはな座」前では悪霊を鎮め邪気を払う役割の獅子舞が奉納されています。

 

 

文明年間(1470年頃)本願寺第8代蓮如上人のすすめにより開基され、現在東本願寺(真宗大谷派)の城端別院となっているのが「善徳寺」です。永禄2年(1559)城端に伽藍を定め、天正13年(1585)に豊臣秀吉と講和するまで、瑞泉寺、勝興寺と並び越中の一向一揆の拠点寺院として活躍しました。本尊の阿弥陀如来は行基の作と伝えられ、親鸞聖人御真筆「唯信鈔」などの宝物を所有しています。

 

 

9:30には西町通りの善徳寺前交差点に、剣鉾や8本の傘鉾、6台の山車や庵屋台が一同に居並び、いよいよ庵唄を唄いつつ巡行します。勢ぞろいした曳山群は美しく迫力があります。

 

 

 

10:30頃に今町通りを通ります。旧野村銀行を経営していた財閥野村家の土蔵4棟が残されていて、格子戸、石畳、白壁は小京都らしい場所で絶好の写真スポットです。

 

 

特にこの道を下ってくる曳山を土蔵の入口に造られた石段上からのアングルは迫力があります。この石段の場所は永六輔さんのお気に入りの場所だったそうです。写真は五番山・西山町の諫鼓山・堯王です。

 


昼食をはさんで13時30分から宗林寺町の「坡場の坂」という石垣、屋根瓦、細い縦格子を貴重とした町家が両側に建ち並ぶ通りを通ります。かつての造り醤油屋には、赤レンガの倉庫や「醤油」と書かれた木の看板などノスタルジックな雰囲気を醸しだしています。

 

 

見どころのひとつが14時頃の宗林寺町から大工町へ抜ける際の屋根の折り曲げです。道が細く両側に家屋が建っているため曳山の屋根幅を縮めなけれ通れないことから軒を折り上げます。写真は六番山東上町の鶴舞山“寿老”です。

 

 

唯一西下町:諫鼓山だけは正常な形を保ちながら軒をせり上げるという、特異な装置が組み込まれています。

 

 

メイン通りであり西町通りにでた曳山は通り沿いにある曳山会館前に設置された特別桟敷席(一席1000円)の前で順次各町の曳山と庵屋台の解説、庵唄を披露していきます。特に三番山の東下町・東耀山ではからくり人形が披露されますので必見です。

 

 

庵唄自体は曳山・屋台庵の巡行にともなって所望宿・約50軒の軒先でそれぞれ演奏され、終日聴くことが可能です。

 

 

16時頃の巡行路の北端である「出丸坂の引き返し」も見どころのひとつです。出丸坂で行われる転回では、曳き手の見事な曳山捌きが見逃せませんし、同時に大きく鳴り響く軋り音も聞き逃せません。方向転換の際に車輪が独特な軋みを響かせることから城端の曳山は「ギュウ山」とも呼ばれています。

 

 

曳山の車輪は大八車様式の幅車(やぐるま)又は板車の4輪で車輪にも漆や彫金が施されています。また神座に見返し(後屏)にも意匠が施されていますので曳山の後ろにも注目してください。

 

 

夕食の19時を過ぎたあたりから灯火がつけられます。

 

 

提灯山となり夜の巡行になり、22時頃まで行われます。日中の煌びやかなさまとは一転して、幻想的な風景が楽しめます。

 

 

 

曳山の御神像・車輪・見返しの紹介

一番山:大工町の曳山“関羽と周倉像”を安置する千枚分銅山

四方唐破風の屋根、平天井で高さ6.34m

 

輻車(やぐるま)の車輪

見返し(関羽)

 

二番山:西上町の曳山“恵比寿像”を安置する竹田山

四方一文字軒、入母屋造りの屋根、折上平天井で高さ5.71m

 

板車の車輪と恵比寿の紋“蔓柏”

見返しはなし

 

三番山:東下町の曳山“大黒天像”を安置する東耀山

前後唐破風屋根、格天井で高さ5.91m

 

輻車(やぐるま)の車輪

見返し

 

四番山:出丸町の曳山“布袋像”を安置する唐子山

前後唐破風屋根、平天井で高さ6.27m

 

板車の車輪

見返し(一位材白木彫り司馬温公瓶割の図)

 

五番山:西下町の曳山“堯王像”を安置する諫鼓山

三方唐破風の屋根、平天井で高さ6.18m

 

見返し

 

六番山:東上町の曳山“寿老像”を安置する鶴舞山

二重構造の屋根、平天井で高さ6.52m

 

輻車(やぐるま)の車輪

見返し