何かでお勧めされていた本で、手に届くまでどんな本かよくわからなかった。表紙を見て、甘い青春小説を想像した。これが全くの見当違い!苦い青春小説だった。

 「気を許すのは、自分が好意を持つ可能性も自分に好意を持つ可能性も全くない人間に限られていた」青年が主人公。さくらは桜ではなくサクラ。

 「国民健康管理システム」と名付けられたステンレスの腕輪をみんなが装着する近未来。そのデバイスは身体的精神的な不調を察知し、早目の解決を促す。そして自殺リスクのある人間にもたらされる治療法とは…サクラ妄想という副作用を生み出す社会で生まれたものは…

 一度疑念が生まれたら、それを消すことは不可能に近い。では友情や恋は成立しないのか…いや、あると信じたい。結局は自分の感覚を信じるしかないのかもしれない、裏切られてもいいくらい好きという諦めを忍ばせながら。

 今はAIがサクラなのかも。AIは裏切らないし、批判もしないだろうから。でも、AIには心はないよ。