上海旅行で安全を確保する上で大切なのは、上海人気質というか、上海の風土というか、上海を理解することが必要になろう。日本でも関西と関東では気質や風土が違うのと同様なのだが、日本人としてはまず中国人の気質や風土を知ることが最初のステップとなる。その気質や風土は簡単に言えば「自己責任」ということになるが、上海ではこの「自己責任」的要素が色々な時に非常に色濃く示される。

分かりやすい例を挙げると、たとえば上海人が東北人つまり中国北部の人に今はやりのタブレットを売るというようなシチュエーションを想定した場合、東北人も含め中国人としてはまず間違いなく値引きの交渉をせずにはいられない。そんな時、上海人の商人であればやはりまず間違いなく別の品物を出してくることだろう。「自己責任でどうぞ」というわけである。

当然のことながら、買い手は値引きの交渉を開始する時点でこの「自己責任」の原則を意識する必要がある。つまり安く買うにはリスクは避けられず、より安いというのはそれなり理由があってより安いわけで、別に人情や同義や義理が関係しているわけでもなんでもない。たとえば、出された別の品物は出所不明の盗品まがいのものかもしれず、水貨つまり正規品でないかもしれず、修理品を新品のごとく売っているのかもしれない。

気を付けたいのはここで上海の商人のほとんどは決して相手を騙そうとしているのではなく、相手の「自己責任」を最大限に利用して売る側都合を優先させているに過ぎない。

これを上海旅行全体に当てはめた場合、上海には独特の「危険」が存在することに気が付かれるだろう。それはつまり、皆が自己責任で動いている中で自己責任の何たるかを理解していない旅行者が判断を誤るという危険である。「値引きしてくださいって言ったら奥から特価品をわざわざ持ってきてくれた」的な良い思い出で済めばいいのだが(その実、二級品を買っただけのことなのだが)、散財したり健康を害したり身に危害が及んだりしては困る。判断に迷うようならだれかにきちんと聞くか、判断に迷わなくてもこれは本当に安全なのか?と一歩下がってまず考えることを習慣にしたい。