中国有数の外国人社会が存在する街・上海でプリベイド携帯を持たないなんて絶対どうかしている、というのは分かる。中国では携帯人口の急激な増加に伴い、携帯(番号)一つで事足りるというシチュエーションが日常となり、生活テンポの速い上海で「で携帯番号は?」と聞かれて「まだ持ってません」などと答えようものなら、相手をひどく失望させるに違いない。

ただしある人々は上海で(敷衍すれば中国で)携帯を持つデメリットを知る故に、わざと携帯を持っていなかったり、わざと家に「置き忘れ」ていたりする場合もある。中国語が話せないので煩わされたくないと思ってそうする人もいるだろうが、居所を知られたくないと思ってそうする人もいるかもしれない。

というのも日本でもそうだが、プリベイド携帯を使って犯罪みたいなことを防止する目的で、近年は身分証(外国人の場合はパスポート)の提示なしにはプリベイド携帯(正確にはSIMカード)が買えなくなった。正確にはまだ買えることは買えるのだが、残数は急激に減少している。

これはつまりパスポート番号イコール携帯番号ということで、地元警察や入管管理局から必要に応じていつでも「お呼び出し」が可能ということにほかならない。

この「監視されたくないから携帯は持たない」というのは一般庶民にとってはあまりに縁遠い話に違いなく、それ以上に中国人はこうした管理社会に既に慣れてしまっているので違和感は(恐らく)ないのだが、上海の外国人社会内に深く深く潜行しているような一部外国人にとっては事情が異なる場合もあるいはあろう。「で携帯番号は?」と聞いて「いや持ってないんす」とか「かけられても出れないっす」みたいな反応の場合、恐らくそっとしておいてあげるのが彼のため、いや君自身のためになる。