✨わらこ精霊 秋だより編 〜星を想う午後〜
瑠璃野ひめか(小樽・おたる) るりの ひめか 中2
🎵 35. 精霊コール 〜わたしが名前を持った日〜
記憶は、星みたいに遠くで静かに光り続ける。
---
🌅 朝
小樽の朝は空気が澄んでいて、ほんのり潮の香りが混ざっていた。
通学路の坂道を登りながら、私は空を見上げる。
「ひめか、また空見てる」
友達に声をかけられて、小さくうなずいた。
「……昨日の夜、星がすごくきれいで。まだ残ってる気がして」
「残ってないでしょ!」とすぐつっこまれて、私は思わず首をかしげた。
「え、そうかな……?」
その反応がおかしかったのか、まわりの子たちがくすっと笑って、朝の教室に入る前から和やかな空気が広がった。
私の小さな“天然っぽさ”が、みんなの気持ちを少し柔らかくできたなら嬉しい。
---
📖 午前の授業
理科の時間。配られたプリントには「天体」の文字。
「ここで見える星座を書いてみよう」と先生が言うと、私はペンを握りしめ、すぐにノートを開いた。
「ひめか、速い!全部書けるの?」と隣の子が驚く。
私は少し照れながら答える。
「……おばあちゃんに教えてもらったから、ちょっと覚えてるの」
「いいなぁ、星に詳しいなんて」
その声に、胸の奥がじんわり温かくなった。
おばあちゃんと夜空を見上げた時間が、今も星座の形と一緒に残っている。
記憶は消えない。そう思うと、書き込む文字ひとつひとつが光って見えた。
---
🍴 給食
今日の献立は、人気メニューのハンバーグ🍖、ごはん、牛乳🥛。
「やった〜!大当たりの日だ!」とクラス中に歓声が広がる。
私はふと口にした。
「……ハンバーグって、丸いから星に似てない?」
「似てないよ!」とすぐにツッコミが飛んできて、机の上に笑いがはじけた。
私は首をかしげながら真顔で続ける。
「でも、夜空に浮かぶ星も丸いんだよ」
「ひめかの頭の中、ロマンチックすぎ!」
みんなが笑って、私は頬をほんのり赤らめる。
でも“笑いながら覚えていてくれるなら、それでいい”と思った。
ハンバーグの香ばしい匂いが教室に満ちて、笑い声と混ざり合い、あたたかな昼休みが広がっていった。
---
🎤 放課後のレッスン
歌の練習中、譜面を見ながら声を合わせる。
ふと口をついて出た。
「……星の光も、記憶も、消えないんだよ」
「ひめかの言葉って歌詞っぽい」
仲間にそう言われて、私は照れ笑いを浮かべた。
「……そうかな。だったら嬉しい」
その瞬間、自然と声が柔らかくなり、仲間のハーモニーにするりと溶け込んでいった。
まるで夜空の星がひとつの星座になるように、私たちの声もつながっていった。
---
🌆 夕暮れ〜下校
放課後、小樽運河に寄り道をする。
オレンジ色の夕陽が水面に映り込み、ゆらゆらと揺れている。
石造りの倉庫がシルエットになり、異国の街のような雰囲気が広がっていた。
「夜になったら、また星が見えるかな」
私がつぶやくと、隣を歩いていた友達がすぐに答えた。
「絶対見えるよ」
その言葉が、胸の中で小さな灯のように光った。
“星を見上げた記憶も、誰かと笑った今日も、全部がつながって消えない”
そんな想いを胸に抱きながら、家路へと歩いた。
---
✨——星も、記憶も、笑い声も。
その全部が、わたしの歌になる。
明日もまた、小樽の空とやさしい気持ちを声にのせて届けたい。
---





