🗓️ わらこ精霊 夏だより
4日目|2025年7月2日(水)
潮見あまね(小樽市)
「海と対話する夏──小樽の水と光の旅」
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静かな海の街、小樽。
この日は、潮見あまねが久しぶりに一人で、小樽の魅力をめぐるちいさな夏旅へ出かけました。
──真夏の陽射しのなかでも、どこか凛とした風が通り抜けていく街。そんな空気に包まれながら、あまねは静かに歩き出します。
家から徒歩で10分ほど、あまねは**北海道中央バス「おたる水族館線」**の停留所に向かいます。
1時間に2~3本のバスが走っていて、乗車時間はおよそ25分。
🚌【運賃:大人240円・中学生も同額(2025年6月現在)】
──家を出るとき、ほんの少し緊張した心が、バスのエンジン音に溶けていく。車内には地元の人と、観光客が静かに揺られていました。
車窓から見えるのは、少しずつ広がる青い海と、夏の光にきらめく石造りの街並み。
波のリズムに合わせてゆらめく港の白い船。その景色が心の奥で静かに鳴るように。
静かに揺れるバスの中、あまねはノートをひらき、どんな風景が待っているのか、そっと心を巡らせていました。
──何も書かれていないページが、今日の記録を静かに待っているようでした。
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🚩【小樽水族館】に到着。
海を見下ろす高台にあるこの場所は、1958年からつづく、歴史ある水族館です。
入館料は中学生600円(2025年時点)。
🐧ペンギンのよちよち歩き、
🦭 アザラシのひなたぼっこ、
🐟 色とりどりの魚たち。
──どの生きものたちも、言葉ではなく“仕草”で語ってくれる。あまねはその静かなメッセージを受けとるように歩いていきます。
「…海の中って、こんなに静かで、きらきらしてるんだ…」
水槽の前で佇むあまねの目が、ガラス越しに広がる“もうひとつの海”に吸い込まれていきます。
──深く、穏やかで、どこか切ない。言葉にならないままの感情が、水の揺らぎに重なっていました。
屋外にあるトドのショーでは、トレーナーの合図に合わせて飛びあがる姿に、思わず小さく笑って拍手。
普段はあまり感情を外に出さないあまねが、素直に「すごい…」とつぶやくように呟いた声が、海風にとけていきました。
──その一言は、誰かに伝えるためじゃない。ただ心からこぼれた、ひとつの“響き”でした。
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午後は、小樽港のベイエリアから出ている**「青の洞窟クルージング」**へ。
【乗船料金:中学生4,000円】
出発地は「おたる水族館前」から徒歩10分の「祝津マリーナ」。
──夏の空の下、ライフジャケットを着けて船に乗るその瞬間、あまねの心にほんの少しだけ冒険の風が吹きました。
ライフジャケットを着け、少人数のボートに乗ると、目の前には切り立つ岩肌と、真っ青な海。
岸壁を縫うように進むボートの音。頬をなでる潮風。
波が静かに揺れるなか、洞窟の中へ──
壁に反射する青い光と、静寂。そこに響くのは、海と風の音だけ。
──あまねはその静けさに身をまかせ、言葉よりも深い“青”の感情を、じっと感じていました。
「この音… 灯台の下で聞いたのと、似てる…」
記憶の奥にある“場所の音”が、今この洞窟でふたたび胸に触れてくる。
あまねはそっとスケッチ帳を開き、感じたままの青を鉛筆で描いていました。
──青は、ただの色ではなく、自分の中の静けさを映す“心の色”でもありました。
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帰り道、再び中央バスに揺られて、あまねは街に戻ります。
夕暮れの小樽運河には、ガス灯がぽつりぽつりと灯りはじめ、
その光が水面に映るのを静かに見つめながら──
──さっきの洞窟の青とは違う、やわらかなオレンジ色の光。
それは、昼間の旅が夢だったように感じさせる、やさしい時間でした。
「きっと、記憶もこんなふうに… 静かに、灯るんだね」
胸の奥にそっとあたたかさを残して、あまねは歩き出します。
一人の夏の日。
静かな感性で旅を受けとった、潮見あまねの記録でした。
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🔖次回(5日目)|2025年7月3日(木) 灯原つくよ(函館市)










