✨精霊 夏だより・31日目(2025年7月29日・火)
🍓 いちごの甘さは、静かな記憶🍓![]()
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登場:音羽めぐる(別海)
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🌿 7月某日──やさしい甘い匂いに誘われて
北海道の夏。
7月のある朝、音羽めぐるはふと思い立って、町はずれの観光農園を訪れた。
牧草地の向こうにぽつんと広がる、静かな“露地いちご”の畑。![]()
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白い花が咲き終えたあとに、赤く実ったいちごたちが、朝露をまとって揺れていた。

> 「誰かと約束したわけじゃないけど……今日は、ここに来てみたかった」
風が吹くたびに、草の葉がふるえ、鳥の声がどこか遠くで響く。
にぎやかではないけれど、心がゆるむ場所。
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🍓赤い実ひとつぶひとつぶに、想いを重ねて
受付で手渡された小さなカゴを片手に、
めぐるはゆっくりと畝(うね)という土が盛り上がってる所のあいだを歩いた。
葉の陰からのぞく赤い実をひとつ、そっと摘みとる。

> 「かがんで摘む、ってなんだかいいな。
目線が地面に近いと、音もやさしくなる気がする」
土のにおい、草の湿り気、指に伝わる感触。
いちご狩りって、ただ“味を楽しむ”だけじゃない。
心を落ち着ける静かな時間なんだと、めぐるは気づく。
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📖ことばにしないまま、感じていたこと
木陰のベンチに腰を下ろし、摘んだばかりのいちごをひとつ。
口に含むと、やわらかな甘さが静かに広がった。
> 「……静かに甘いって、いいね」

声に出したくなるほどのおいしさじゃない。
でも、心の奥にすっと染み込む味。
それが、今日の“正解のひとくち”だった。
彼女はポシェットからノートを取り出して、静かに書く。
> 『甘さって、たぶん記憶に似てる。
一粒ずつ、心にのこしていくもの。』
> 『“おいしいね”と誰かと笑った日も、
静かに味わった今日も、
どちらも私の中で、大切な夏になる』
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🍃空を見上げた帰り道
摘んだいちごの入った小さな箱を手に、めぐるは空を見上げた。
雲がゆっくりと流れていて、風の中に草の匂いが混じっていた。

写真を撮るでもなく、話すでもなく。
ただ、今日のことを、自分の中だけでそっと残していく。
> 「こんな日があってよかったって、
あとから思い出せるように、今をちゃんと感じたい」
それが、めぐるらしい「ことばの灯し方」だった。
📅次回予定
32日目(7月30日・水)登場:楓野あい(北見)
💠 紫陽花の道をそっと歩く
→ 雨上がりの空気と淡い色が、心に静かな光をともしてくれた。