✨わらこ精霊 夏だより《32日目》
2025年7月30日(水)![]()
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💠 紫陽花の奥に、風がやさしく揺れた午後
登場:楓野あい(北見)
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🌿 七月某日──雨あがり、風のほうへ歩いてみる
楓野あいは、ふらりと町はずれの道を歩いていた。
夜のあいだに降った雨のせいか、
木々の葉や道端の草がまだしっとりと光っていた。
雨あがりの散歩、ただそれだけのはずだったのに──
足元にぽつんと現れた看板が、ふと彼女の心をひらかせた。

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💠 見つけたのは、“静けさが咲く場所”
細い道をくだった先には、
まるで絵本のページのような空間が広がっていた。
紫陽花が、いくつも。
それも、ちゃんと手入れされた園芸エリアじゃなくて、
どこか野のまま、自然のまま、咲いている。
白も、薄い青も、ほんのり紫も。
花のあいだを風がすり抜けて、
葉の上の雫をふわっと散らしていた。

> 「知らなかったな……
ここに、こんな風景があったなんて」
あいは近くの木に寄りかかって、
しゃがみこむように腰を下ろした。
土の匂い、雨の残り香、花の静けさ──
その全部が、今の自分にぴったりだった。

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📖 紫陽花の花が教えてくれたこと
紫陽花は、咲く場所の土によって色が変わるという。
ひとつの枝にいくつもの色を咲かせるこの花は、
まるで、いろんな気持ちを抱えた誰かのように見えた。
> 「どんな色も正しくて、どんな変化も否定しなくてよくて……
なんか、それってすごく救われる」

あいはポケットから手帳を出して、こんなふうに書いた。
> 『変わることは、うつくしい。
きのうの気持ちと、今日の気持ちが違っても、
それはきっと、咲いてる証。』
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🌬️ 風にほどけていく想い
帰り道。
あいは紫陽花の道をもう一度だけ、振り返った。
> 「また来年、咲いてるといいな」
足もとに落ちていた、小さな花びらをそっと拾って、
手帳のページのあいだに、静かに挟んだ。
その日の紫陽花は、言葉よりもやさしかった。

📘 次回予告(33日目/7月31日・木)
✨ わらこ精霊 夏だより《第1部 最終日》
登場:ひとりの精霊が、静かに夏の空を見上げる。
→ 終わりじゃない。まだ、夏はつづいている──。
この小さなまなざしが、8月の扉をそっと開く。