業界人や職人がよくやる過ち | 女性パート モチベーション&目標管理専門 社会保険労務士

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バラエティ番組などでも人気のシェフ・川越達也氏が、自身の経営するイタリア料理店がネット上で800円のミネラルウォーターについて批判を受けたことに対して「年収300万円、400万円の人にはわからない」といった趣旨の発言をして物議を醸しております。

この騒動の問題点は、彼の3、400万円の人にはわからないという、
彼が人を 見下しているようにも見える言い方も良くないのですが、
業界人や職人がよく陥るまずい説明の仕方
も大きい要因であると思います。

職人気質の人は、相手が同じ業界の人間でも
業界事情に疎い一般人でも区別せず、
専門用語を多用した普通の人には難解な説明をしがちです。

だから、専門家が一般の人を相手に説明するときは、
専門用語を用いず平易な言葉に言い換えながらしなければなりません。
しかし、それだけでは不十分です。
専門家は専門用語を用いないだけではなく、

比較する基準も変えて説明をしなくてはならないのです。

彼は800円のミネラルウォーターがプレミアムな
基準でいえば高くはないという事を主張しました。
しかし、それを説明するために
業界内の基準を用いたことで失敗しました。
「よその店は1500円も取る。高級店の常識では800円は安い方である」

800円と1500円、一見川越シェフの店の
ミネラルウォーターは安いように思えます。
でもそれは業界内の常識です。

私の家の近所のマツキヨでは2.5Lの水を88円で売っていることがあります。
水道の蛇口をひねればもっと安い水が手に入ります。
これが川越シェフの言う300万円程度の年収の人の常識です。

つまり、業界と世間一般には大きな感覚の差が 存在しているのです。

彼は自分がこうした感覚の違う世間一般を相手に説明していることを忘れ、
業界常識をタテにして強引に主張を貫こうとしたため、かえって失敗したのです。

この状況であれば私だったらこう言うでしょう。
『確かに800円のミネラルウォーターは高いです。
常軌を逸していると思われるかもしれません。
海外ではどんなお店でも水は有料ですが、
日本では水はタダと言う認識が一般的です。
だから、うちのやり方が非常識と思われるのかもしれません。
しかし、
このような慣行の国で、うちが提供したいのは
プレミアムなサービスなのです。
極めて希少価値が高い、世界の専門家が認める
極上の品をご提供したいのです。
それには多大なコストがかかります。そのため、
1杯800円のお代を頂かないとサービスを維持できない
ということをどうかご理解ください』

「世間一般の水の値段の常識との差を私は理解しています」
という自分と一般の感覚の乖離を共感として示したうえで、
世間の一般的基準と高級料理店の業界基準を分けて考えてもらい、
800円の値段の理由を説明します。


業界基準は、業界内で事情を共有した相手には有効な説得材料になります。
しかし、世間一般を相手に説明するときは、
得てして社会的非難を浴びる最も危険な罠となります。

一般の人に業界の事情を説明するときは、世間の基準と比較し、
「自分達は世間一般で言えば非常識です」と認めたうえですると、
相手は、「大変なんですね」と案外好意的に返してくれるかもしれません。
そうなればこちらの言い分に理解を示してくれる可能性が高くなるでしょう。