壱.躍る盤面
深ヒ闇ニ花ワ舞ヒ踊ル
ソノ渦ノ中ニ落ツル少女ヒトリ。
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細通じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ
◇
「王手だ」
玉の前に無慈悲にも置かれた王はその戦争の終結を意味していて、それを目にした眼前の王は気味悪く口角を釣り上げたのだった。
「参りました」
聞いた王は自分の傍らの杯を飲み干し、高らかに掲げたのだった。
「そんなに気分がよさ気だと、見てるこっちは気分が悪くなるよほんと」
「勝った方が酒がうまいからな。その方がいいに決まってる。」
「いつも通りで何よりだよほんとに。」
「お褒めいただきなによりだ」「褒めてねぇよ!」
自分の水が入った器を傾けた。
「ぶッ!??!」
「それ酒だが」
かなり悶絶しているが、原因を作ったやつは笑い転げている。
「…いい身分だな…人が苦しんでんのに。」
「勝った上に、仕掛けた側だからな。笑うのは義務みたいなもんだろ。」
目の前の鬼”百鬼”は攻めこまれ崩された盤上を見て笑った。
「どうせ攻撃力とか言うんだろ」
「分かってんじゃねぇか。」
「知ってた。」
やっぱり脳筋じゃないか!
「何か言ったか」
何でもないですはい
「しかしお前には力はあるのにそれを攻めに使わないのはどういうことだ」
「どっちの話だよ」
「心当たりあんじゃねえかよ」
図星だった。 今までカウンターをメインにした戦法であったが、それは相手の隙を突く必要がある。必然的に受けるダメージが増えやすくなる。ダメージを受けることはその後の戦況に影響を与えるのである。もうあんな戦いはお断りだが。
「心当たりあんなら話が早いな」
そう言うと百鬼は拳を突き出してファイティングポーズを取った。
「やるぞ」
「は?」
もう一回やれと?