OECDモデル租税条約は、OECD加盟国に限らず多くの国が締結している租税条約のひな型として使用されています。我が国も、OECDモデル租税条約に沿って租税条約を締結しているため、租税条約の適用及び解釈には、OECDモデル租税条約のコメンタリーが参照されています。



1.  コメンタリー参照上の留意点


OECDモデル租税条約のコメンタリーを参照するにあたって、留意すべき点が2つあります。


(1) コメンタリー改正と条文の適用関係


コメンタリーの改正には、モデル租税条約の条文改正から帰結するものと、その他のコメンタリーの改正又は追加があります。この違いにより、どのコメンタリーを参照するかが異なってきます。

モデル租税条約の条文が改正された結果としてコメンタリーが改正された場合には、その改正後のコメンタリーは、従来のモデル租税条約の条文に基づいて締結された租税条約の条文の解釈に適用されません。例えば、モデル租税条約第7条(事業所得)の条文は2010年に全面改正され、コメンタリーも一新されましたが、この場合、モデル租税条約の新第7条を採用している租税条約の解釈には新第7条のコメンタリーが適用され、旧第7条を採用している租税条約の解釈には旧第7条のコメンタリーが適用されることになります。


これ以外のコメンタリーの改正及び追加は、現行の条文の適切な解釈や特定の状況への条約の適用に関するOECD加盟国のコンセンサスを反映しています。この場合、改正後のコメンタリーは、それ以前に締結された租税条約の解釈及び適用にも遡及して適用されます。


(2) 所見

2. 条文及びコメンタリーの改正


直近の2014年改正では、以下の論点に関連して条文及びコメンタリーが追加・修正されています。

l 17条(芸能人)の適用

l 受益者の意味

l 排出権に関連する条約上の問題

l 雇用終了時の支払の条約上の取扱い

l 用語の意味の明確化や用語の訂正等の技術的変更


また、2014年改正は、20127月に承認された第26条(情報交換)の条文及びコメンタリーの改正も含んでいます。

OECDは、1963年に条約草案を公表し、その後改正を加えた、新たなモデル租税条約とそのコメンタリーを1977年に公表しました 1991年に、OECDは、定期的に又は随時必要に応じて、モデル租税条約及びコメンタリーを改正することとしました。以降、一貫性の高い解釈と適用を確保するため、そして加盟国が直面する様々な問題に対応するため、OECDは、精力的にモデル租税条約及びそのコメンタリーの改正を行っています。



特定の加盟国が、コメンタリーに所見(observation)を付している場合があります。これは、当該加盟国が、各条項のコメンタリーの解釈に従えない場合に、その国が当該条項をどのように適用するかを表明したものです。コメンタリーを参照する際には、まず、締約国が所見を付していないかを確認する必要があります。