1. 第26条(情報交換)第2項の条文の改正―関係当局間の情報共有
従来の第26条第2項の規定は、相手国から入手した情報は、租税の賦課・徴収等に関与する者又は当局に開示され、情報をその職務のためにのみ使用することができるとされていました。しかし、税目的で交換された情報は、受領国にとって税以外の目的のためにも有益な場合があるため、2012年のモデル租税条約の改正で、締約国が税目的で受領した情報を他の関係当局との間で共有することを認める規定が第2項に追加されました。情報を受領した他の関係当局には、同項に規定する守秘義務が課されています。
2012年改正で条文に追加された規定は、関係当局と情報を共有することを可能にする規定を二国間租税条約に挿入したいと考える国のための規定案として、2005年のOECDモデル租税条約の改正で第26条のコメンタリーに追加されました。その後、OECD理事会は、2009年及び2010年に、租税犯罪に取り組む関係当局が情報を共有できるよう当該規定案を二国間条約に追加することを検討するようOECD加盟国に勧告しています。また、2011年の第1回租税犯罪に関するフォーラムの最終宣言(Oslo Dialogue 、オスロ対話)では、租税犯罪、マネーロンダリング、その他経済犯罪に対抗すため、税務当局、司法当局、マネーロンダリング規制当局及びその他の当局間の協力関係の改善が必要であると結論付けています。2012年の第26条第2項の改正は、このオスロ対話の構想に沿ったものです。
情報を受領した国の税務当局が、他の執行機関及び司法当局と情報を共有するためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
● 両締約国の法令に基づき情報を他の目的に使用できること
● 情報提供国の権限ある当局がそのような使用を許可すること
2013年のOECD報告書(Effective Inter-Agency Co-operation in Fighting Tax Crimes and Other Financial Crimes、 Second Edition)によると、我が国の国内法上の情報共有の可能性は、以下のようになっています。
(続く)
この規定がモデル租税条約に追加されて以降に改正された我が国の租税条約では、スウェーデン(2013年12月5日署名)及びイギリス(2013年12月17日署名)との租税条約で、同規定を採用しています。