スイスが多国間CA合意に署名


20141119日、税務行政執行共助条約の自動的情報交換規定に基づく多国間CA合意(20141116日のブログ参照)に、スイスが署名しました。銀行秘密保護法で有名なスイスが、金融情報を自動的に交換することに合意するというのは、画期的なことです。

この多国間自動的情報交換では、各国の税務当局は、それぞれ自国の金融機関から非居住者(個人・法人等)の口座情報を報告させ、非居住者の各居住地国の税務当局に対して年1回まとめて情報を提供し合うことになります。

報告義務のある金融機関は、Non-Reporting Financial Institutionとされる金融機関を除くすべての金融機関で、銀行、証券会社、信託、特定の保険会社等が含まれます。

金融機関は、次のような口座情報を報告することになっています。

(1) 口座所有者の氏名、住所、納税者番号、誕生日(個人の場合)、口座番号、口座残高(キャッシュバリュー保険契約又は年金保険契約の場合にはキャッシュバリュー)

(2) カストディ勘定(Custodial Account)の場合には、当該勘定に支払われた又は貸記された利子の総額、配当の総額及びその他所得の総額、並びに金融資産の売却又は償還による総受取額

(3) 預金口座(Depository Account)の場合、当該口座に支払われた又は貸記された利子の総額

この自動的情報交換実施のための細則を定めた、共通報告基準(Common Reporting Standard、Standard for Automatic Exchange of Financial Account Informationに掲載されている。)は、効率性の向上及び金融機関のコスト削減の観点から、米国FATCAForeign Account Tax Compliance Act)実施のためのアプローチを参考にしています。ただし、共通報告基準では、市民権を基準としていない、低額の既存個人口座の除外基準を設けていない、自動的情報交換に参加しない国又は地域に拠点を置く投資事業体の取扱いについての特別規定(look through treatment)を設けている等の違いがあります。

このプロジェクトは2012年にスタートとしていますが、当時のOECD報告書によると、ノールウェーとデンマーク(追記:両国とも納税者番号(住民登録番号)あり)が自動的情報交換で得た情報と申告書をチェックしたところ、国外所得を申告していない事例が約4割あったことが報告されています。我が国も、多国間CA合意への署名はまだですが、2018年中には最初の情報交換を行うことをコミットしています。多国間の自動的情報交換が開始すれば、申告所得や国外財産調書をチェックすることのできる海外からの情報が増えることになりますが、納税者番号がない現状では完璧な名寄せは容易ではないかもしれません。