(3)
第3項a)及びb) と第4項及び第5項の関係
上記 a)及び b)は、第4項又は第5項を適用する場合には、被要請国が要請を拒否することを認めていません。これに関連して、第5項が適用になる状況についての説明が、2012年改正で追加されています。
例えば、被要請国が情報を入手できない理由が、銀行又はその他の金融機関が要請された情報を保有していると考えられる事実に関係している状況で、第5項が適用されます。つまり、第5項の適用には、銀行等が保有する情報を入手するためには、それ以外の者が情報を保有している場合に適用されるのとは異なる要件が税務当局の情報収集権に対して課される状況が含まれています。異なる要件の例としては、調査中の納税者についての具体的な情報が特定されていなければ税務当局が情報収集権を行使できない場合、又は、情報収集権の行使のためには銀行等が情報を保有していることにより高い蓋然性が求められる等の異なる要件が設けられている場合があります。
4. 第26条(情報交換)第4項のコメンタリーの改正
第
4項(被要請国の課税上必要のない情報の提供)に関しては、情報を入手するために講じる手段と国内法上の期間制限等との関係が追加されています。
被要請国は、国内税法上まだ情報を収集できるか又は使用できるかどうかに関係なく、情報を入手するために必要な手段を講じる必要があります。つまり、要請のあった時点で、被要請国の国内法上の期間制限を経過している、あるいは調査が既に完了している等の被要請国の国内税法上の情報収集権に係る制約に拘わらず、要請された情報を入手するために必要な手段を講じる必要があります。また、第4項は、被要請国に、国内法上の文書保存期間が経過した情報を提供することを義務付けてはいませんが、保存期間が経過したにもかかわらず要請された情報が入手できる場合には、被要請国は提供を拒否できないと解されています。
5. 情報提供期限を設ける規定案
第26条に基づく情報交換の迅速性及び適時性を確保するために、情報提供の期限を設けるための規定案が、2012年改正で追加されています。
規定案は、両締約国の権限ある当局は、第26条に基づく情報の提供の期限について合意することができること、そのような合意が存在しない場合には、被要請国の権限ある当局が要請された情報を既に保有している場合には要請から2箇月以内、そうでない場合には6箇月以内に情報を提供するという内容になっています。
この2箇月若しくは6か月の期限、又は両締約国の権限ある当局が合意した情報提供期限に拘わらず、要請が複雑で期限を延長することが適切な場合等には、権限ある当局は、ケース・バイ・ケースで、異なる期限に合意することができるとされています。
また、被要請国が、法律上の制約(納税者が要請の正当性に異議を申し立て、それについての訴訟が進行中である場合、又は国内法上の通知手続きについての訴訟が進行中である場合等)により要請された情報を期限内に提供できない場合、期限に違反することにはならないとされています。