2016年3月29日に、所得税法等の一部を改正する法律案 が成立し、「日台民間租税取決め」の内容の実施に係る国内法が整備されました。具体的には、「外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律(外国居住者等所得相互免除法)」により取り扱われることになります。この法律は、「外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律」の題名が変更されたもので、従来の国際運輸業所得の免税の規定に、「日台民間租税取決め」の内容に沿った二重課税を排除する等のための規定を追加しています。
租税条約で規定される内容を国内法で規定するということで、「外国居住者等所得相互免除法」は、興味深い構成になっています。多くの事項が政令又は省令に委任されているので、全体像は政令又は省令が出ないと解らない点もありますが、特徴的な点をピック・アップしてみたいと思います。
1. 対象
「外国居住者等所得相互免除法」は、我が国が締結した租税条約の相手国以外の外国で、減免等について同等の取扱いが行われ、租税に関する情報の交換が行われる国の居住者を対象としています。この「対象となる外国」は、政令で定められることとされており、台湾は、政令で「対象となる外国」に指定されることになります。
2. 定義
「外国居住者等所得相互免除法」は、所得税法、法人税法その他の国税関係法律及び地方税法の特例等を定めたもので、用語の定義は、所得税法等の用語の定義を援用しています。そのため、「外国居住者等所得相互免除法」の定義が「日台民間租税取決め」の定義と異なるものもあります。
恒久的施設の定義が、これにあたります。「日台民間租税取決め」では、建築工事現場等は、6箇月を超える期間存続する場合に恒久的施設となると規定していますが、「外国居住者等所得相互免除法」の恒久的施設の定義は、「所得税法及び法人税法の恒久的施設をいう」となっていますので、1年を超える期間が恒久的施設の存在の基準となり、両者の恒久的施設の定義が異なっています。
事業所得は、恒久的施設なければ課税なしの原則が表すように、恒久的施設の定義は事業所得の課税権の存在の判断基準となっています。「外国居住者等所得相互免除法」では、恒久的施設の定義の差異を調整するため、「恒久的施設」の定義とは別に、「国内事業所等に該当する恒久的施設」という概念を創設し、これに帰せられるべきものについて課税することとしています。
この「国内事業所等(建築工事現場等を含む)に該当する恒久的施設」については政令で定めることとされていますので、「日台民間租税取決め」の規定に一致するよう政令で修正するのかもしれません。
(つづく)