201510月にBEPSプロジェクトの最終報告書が公表されましたが、当該報告書の勧告の実施のためには、各国の二国間租税条約を改正する必要があるものがいくつかあります。

Action 15の最終報告書では、この改正には膨大な時間と手数を要するため、各租税条約を修正することなくBEPSプロジェクトの勧告を実施するため、既存の租税条約を修正する効果のある多数国間協定を策定する必要があると結論付けています。現在、2015527日に設置されたアドホック・グループが、多数国間協定の策定を行っており、2016年末までにその作業を終了し、署名のために開放されることとなっています。

アドホック・グループは、2016531日に、多数国間協定の策定中に生じた技術的な問題に関するコメントを求めるディスカッション・ドラフトを公表しています。これによると、BEPSプロジェクトの勧告のうち以下の点が、多数国間協定の規定に含まれるとされています。

1. Action 2関係

(1) 第1条(人的範囲)の改正

金融商品や事業体に対する複数国間における税務上の取扱いの差異(ハイブリッド・ミスマッチ)の無効化を検討するAction 2の最終報告書では、「課税上存在しないと取り扱われる団体又は仕組みに対する租税条約の適用」を取り扱う条文をOECDモデル租税条約に追加することを提案しています。

具体的には、第1条(人的範囲)に第2項を追加し、一方又は双方の締約国で全面的に又は部分的に課税上存在しないものとして取り扱われる団体又は仕組みの所得が、一方の締約国の国内法で当該一方の締約国の居住者の所得として取り扱われる場合には、当該一方の締約国の居住者の所得とみなすことを規定しています。

これは、1999年のOECD租税員会報告「パートナーシップ報告書 」の原則に従った取扱いですが、その取扱いがパートナーシップ以外の団体等にも拡大されています。

(つづく)