先日、坂東眞砂子の『山妣』を読んでずっしりときたので、軽めのエッセイで息抜きをしようと思った。表紙には内田さんの飼い犬レオンとおぼしき犬の後ろ姿が描かれており、可愛くもある。

 収容されている15話とも動物が切り口である。犬、猫はもとより、馬、タコ、ウサギ、蛇、蛍・・・多様であり、それぞれの飼い主の人間観察およびその人生が語られる。舞台となる土地も、語られるイタリア人も、一般にイメージされるステレオタイプからはほど遠く、どちらかというと魅力的とは言い難く、様々な問題を抱えており、動物を飼うことでかろうじて精神の安定を保っているような人もいる。それでも行間からはやはりイタリアの匂いが立ち上ってくる。

 

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