いつもは僕を見つけると逃げてしまうのに、この時は何か変だった。
近づいてきて、僕のすぐ側に座った。
野良ネコは鳴き声一つしないで、ジッとしていたが、しばらくするおもむろに歩き出した。
いつもの散歩コースへ至る道。
側溝沿いを歩き出した途端、野良ネコは歩みを止めて、プルプルと震えだした。
そして側溝の中に滑り落ちた。
野良ネコの鳴き声はいつもとは違っていた。
なんとも苦しそうだった。
体を壁に擦りつけていたが、やがてその動きは止まった。
異常を感じて、横たわって動かないネコを揺さぶったが、何の反応もなかった。
ネコは死んでいた。
野良ネコの臨終に立ち会ってしまった。
自分の住んでいる地域は、野良ネコが多く、エサやりおばさんやおじさんもいて、地域ネコと化しているの現状。
何年かごとに新入りが現われ、それまで我が物顔で歩いていたネコは消えていく。
それなのに野良猫の死体を見たことはなかった。
それなのに死体どころか、死の瞬間に立ち会ってしまうなんて。
なんで僕の家の前で死んじゃった?
側溝は一応公道なので、そのまま放っておいても良かったが、さすがに家の前だし、それが腐っていくさまを毎朝夕見るのは耐えられないので、処理してもらうことにした。
どうしたものか?と自治体のHPを調べると、野良ネコの死体はゴミ対策の部署の所管だった。
ま、生きていれば保健所なのかも知れないが、死んじゃうとただの物体ってことなのだろう。
いかにもお役所らしい冷たさを思いながら、連絡すると、すぐに担当者が来て運んでいった。
あのネコ、ちゃんと供養されるのかな?
というわけで在りし日の野良ネコの映像。