今年の日本アカデミーの最優秀主演賞、助演賞を取った作品。
監督は『フラガール』の李相日。
舞台は九州。些細なトラブルから殺人を犯してしまった若者と、閉塞した田舎町から脱出したいと願った女の逃避行。
原作は吉田修一。今作では脚本も担当。
地歩都市の本当に些細なヒエラルキーと、地域すら崩壊した閉塞感が全編に漂う作品。
ただ、観るまではサスペンス映画だと思ったんだけど、そちらはおまけ程度で、なぜ犯人が特定できたのか、まったく不明。
この作品、とにかく展開が唐突。
女の子が殺されるのも唐突だし、逃避行にでるのも唐突。
犯人が捕まるのも唐突。
それに登場人物すべてに感情移入できなかった。
妻夫木扮する若者は、長崎の地方都市で解体業で働いている青年で、じいさんとばあさんの面倒をみている。
それでいて、GT-Rを乗りこなし、ルックスも抜群。
それなのに、感情をうまく表現できず、いろんな不満をため込んでいる青年。
そんな彼と肉体だけの関係と、下にみる満島ひかり演じる女は、なぜそこまで妻夫木をバカにしているのか分からない。
田舎ものの肉体バカという感じで、妻夫木をバカにしているけど、自分も似たようなレベルなんだけど、それに気づいていない子。
そんな女を峠に捨ててしまい、事件のきっかけを作った金持ちのぼんぼんを演じた岡田将生。
彼が、なぜそこまで満島ひかりを毛嫌いして、さらに足蹴にして峠に捨てたのか不明。
ウザイと思うような女なら、はじめから相手にしなければいいのに。
さらに殊更に殺された女の悪口を言う態度もよく分からない。
そして、出会い系サイトで知り合った男に殺人者であることを告白されても、自首を引き留めた深津絵里。
何が彼女をそこまで彼に夢中にさせたのか?
理不尽な殺人を犯してしまった男をかばう女も、その女に促されて自首を辞めちゃう男も、理解できないし、みていてすごく腹が立ってしまった。
それに逃避行のシーンが、まったくドキドキしない。
自分たちだけの世界にどんどんこもっていってしまうのだ。
ついには、妻夫木と深津しか出てこなくなってしまう。
何なんだよ。
二人でいるとき、まったく殺された女の子となんか考えてなかったじゃないか。反省してないだろ?
さらに世間が描かれてないから、大きな意味でのテーマ。世間で殺人を犯した悪人にも、多面性がある。盗人にも三分の理という部分が、全く描かれていないのだ。
世間から追い詰められていないから、顔写真が手配されても、顔すら隠そうとしないでバスに乗って逃げている。
すぐ捕まるだろ!
逃げる理屈が台詞ですら、描かれていないから、この逃避行の意味が分からない。
そう言うわけで、こんな作品によく2時間20分を使ったなぁという感想でした。